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この香りで……。
第11章 コーヒーの苦味
 三日振りに奈々葉は出勤した。いつもは始業時間の三十分前に入るので、今日は一時間は早く入った。さすがに、誰も出社していなかった。

 久しぶりに自分のデスクに座る。誰が片付けたのか、いつもは雑然としたその上がキレイだ。

 コトン……。何かを置く音……。

 えっ……?

 奈々葉はコーヒーの香りに包まれる。
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