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この香りで……。
第16章 トラブルがあった夜
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社用のエルグランドは音も立てず高速道路を滑るように走った。
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被害はおよそ十万件の個人情報の漏洩だった。金銭的被害は無かったが銀行のシステムが数日間停止すれば数億円の損害だ。
奈々葉たちは何の解決も出来ず、時計は午前零時を回っていた。本来は徹夜で対応するのだが、里井の部下たちが里井をバックアップしてくれるために帰路についた。
「ああ……もう、ダメかも知んないなあ……」
里井が弱々しく呟いた。
奈々葉は里井を見る。「クソっ」と、里井の手がハンドルを殴り、カーステレオのボリュームを上げた。
カーレースでよく聞くアップテンポの電子音がエルグランドに流れる。
――私が助けてあげたい。
「部長……」
信号待ちの車の中で、奈々葉は里井の首筋にキスをした。
「宮崎、お前……」
「大丈夫です……今日は取れないコスメなので……」
奈々葉の唇が里井の唇に重なる。
奈々葉の舌が里井の口腔で絡まる。
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社用のエルグランドは音も立てず高速道路を滑るように走った。
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被害はおよそ十万件の個人情報の漏洩だった。金銭的被害は無かったが銀行のシステムが数日間停止すれば数億円の損害だ。
奈々葉たちは何の解決も出来ず、時計は午前零時を回っていた。本来は徹夜で対応するのだが、里井の部下たちが里井をバックアップしてくれるために帰路についた。
「ああ……もう、ダメかも知んないなあ……」
里井が弱々しく呟いた。
奈々葉は里井を見る。「クソっ」と、里井の手がハンドルを殴り、カーステレオのボリュームを上げた。
カーレースでよく聞くアップテンポの電子音がエルグランドに流れる。
――私が助けてあげたい。
「部長……」
信号待ちの車の中で、奈々葉は里井の首筋にキスをした。
「宮崎、お前……」
「大丈夫です……今日は取れないコスメなので……」
奈々葉の唇が里井の唇に重なる。
奈々葉の舌が里井の口腔で絡まる。