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この香りで……。
第18章 夢のあとに……。



 背中がふわりと温かい。

 奈々葉が受験生だった頃よくあった感覚……。


 ――なんだか安心する……。


 ふわふわする感覚に包まれる。身体が温かいゼリーのような物に包まれたような……。



 頬に柔らかい物が触れる。


 柔らかくて、温かい物……。


 心地よかった。


 ――えっ……?


 頬がポンポンって突かれる。その度、奈々葉の頬が揺れるのが心地よかった。

 ――うふふ、ポンポンって……。




 ――えっ、えっ……まさか……?!


 奈々葉は目を開く。


 ――シーツ……。はっ!


「おお、目ェ覚ましたか、宮崎?」

 ――ああ……。やっちゃったよお……。

「わ、私……」

『顔、ヨダレ』と奈々葉の脳裏が指令を出す。奈々葉は自分の頬を手のひらで確かめる。
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