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この香りで……。
第23章 眠り姫
 奈々葉は落ちる。

 暗い底のない闇の中に……。




『ああ……挿ってるぅ……あん……信也の……のが……』

 という美希の悩ましい声が頭をよぎり、暗闇の公園で膝を抱えている奈々葉自身の姿……。

 ふと、太い梁の見える高い天井が目に入る。

 窓の方に寝返りを打つ。

 ふう……。

 涙が頬を滑る。

 ――ああ……もうこのまま朝が来なければいいのに……。
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