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この香りで……。
第25章 警察署
 高速道路を走るタクシーの中から見る夜景は滲んでいた。それは、雨のせいではなく、奈々葉の目から止めどなく溢れる涙のせいだ。奈々葉は額を膝につけて、声にならない声を出して泣いた。菜々葉の背を里井の大きな手のひらが滑る。
 
「ホイ、どうぞ……。あんまりキレイじゃねえけど」
 
 里井の手のひらが奈々葉の背をそっと押す。初めに里井と唇を合わせたその場所は、綺麗に整頓されていた。
 
「……部長……?」
 
「宮崎、今日は疲れてんだろ。……だから、もう寝ろ。……な?」と里井が言ったあと、「これ……えっと、俺の……いや、女物のパジャマ……だけど、まだ新品だから……」
 
 里井は寝室のドアを開け、まだ折り目が付いている薄い水色のパジャマを受け取った。奈々葉は洗面所でそれに着替えた。
 
 :

 奈々葉が手足を伸ばして眠るのは久しぶりのような感じがした。
 
 奈々葉は深い眠りに落ちた。
 
 菜々葉が里井のマンションに来て、二日が経とうとしていた。その間、里井は体調不良という名目で休んでいた。
 
「あ、ああ……。うん、俺も今見てるよ。ああ、色々すまんな」
 
 里井は肩にスマホを挟んで何やら話をしている。
 
「おはよう……ご……」
 
 里井は目を覚ました菜々葉に手のひらを見せる。
 
 里井は自分の唇に人差し指を当てシーっという仕草を菜々葉に見せ、顔を上にしゃくる。里井の鼻先がダイニングに据えた大型テレビを指していた。そこには『地方銀行 個人情報窃盗事件。取引先の女性社員 逮捕!」の赤い文字が踊っていた。
 
「えっ……?」
 
《――――
 
 繰り返しお伝え致します。☓☓警察本部は、先日の地方銀行○☓バンク個人情報窃盗の事件で、取引先の情報処理会社の社員、坂村美希さんを窃盗教唆の疑いで、任意で同行。先ほど逮捕した、との発表がありました。なお、この事件での被害額は……。
 
 ――――》

 と、朝のニュースバラエティ番組の中年アナウンサーが神妙に伝えた。
 
 ――捕まった。美希が捕まった?
 
 ガクガクと身体が震えた。
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