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この香りで……。
第25章 警察署
☓☓警察につく頃、里井のスマホに電話があった。
「ああ……、ああ、そうか……いつもすまんな」
「何の連絡ですか?」
「……弁護士によると坂村との接見はダメなんだと……。長くて七十二時間くらいは家族でもダメらしい」
里井がため息をつくように言った。
――七十二時間、3日か。
「長いですね?」
「仕方ねえな」と、里井が運転席に身を乗り出し、ひとつため息を吐いてから言った。
「運転手さん、すみませんが……」と里井はタクシーの行き先を○☓情報サービスに変更した。
:
:
○☓情報サービスの前には、マスコミらしき人物で物々しい雰囲気だった。
里井が先に歩き、奈々葉が少し後を追う。「地方銀行個人情報漏洩の件でお聞きしたいんですが……」と一気に数本のマイクとカメラを向けられた。あっという間に人垣ができて、眩しいほどのフラッシュに目を細めた。
「おい、奈々葉っ……!」
里井がドスの効いた声で奈々葉を呼ぶと、「すみません……」と誰かの声がして、人垣が散り散りに崩れた。
――きゃっ、奈々葉だって!
奈々葉は里井の横に並ぶ。里井の筋肉質の腕が菜々はの腕に通ると、力強く引き寄せられた。少し顔を伏せて小走りで歩いた。
奈々葉と里井は、システム営業部のある階に向かうエレベーターの中にいた。里井は自分の胸ポケットから手帳を取り出して、何かを確認している。
「だけど、ドキドキしました。部長が『おい、奈々葉!』なんて……。ハハハ……。カップルに見えましたかね、私たち……」
里井が手にした手帳で菜々葉の頭を叩くふりをした。
菜々葉は小猫のように首をすくめる。
「アホか……。見えねえよ。ったく……。ああでもしなきゃ、マスコミなんて振り払えねえよ。宮崎、お前ってホント空気読めねえやつだな」
と里井は言ったあと
「俺たちがウチの人間だって、すぐにバレるさ、そんなもん……」と寂しそうに言った。
「ああ……、ああ、そうか……いつもすまんな」
「何の連絡ですか?」
「……弁護士によると坂村との接見はダメなんだと……。長くて七十二時間くらいは家族でもダメらしい」
里井がため息をつくように言った。
――七十二時間、3日か。
「長いですね?」
「仕方ねえな」と、里井が運転席に身を乗り出し、ひとつため息を吐いてから言った。
「運転手さん、すみませんが……」と里井はタクシーの行き先を○☓情報サービスに変更した。
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○☓情報サービスの前には、マスコミらしき人物で物々しい雰囲気だった。
里井が先に歩き、奈々葉が少し後を追う。「地方銀行個人情報漏洩の件でお聞きしたいんですが……」と一気に数本のマイクとカメラを向けられた。あっという間に人垣ができて、眩しいほどのフラッシュに目を細めた。
「おい、奈々葉っ……!」
里井がドスの効いた声で奈々葉を呼ぶと、「すみません……」と誰かの声がして、人垣が散り散りに崩れた。
――きゃっ、奈々葉だって!
奈々葉は里井の横に並ぶ。里井の筋肉質の腕が菜々はの腕に通ると、力強く引き寄せられた。少し顔を伏せて小走りで歩いた。
奈々葉と里井は、システム営業部のある階に向かうエレベーターの中にいた。里井は自分の胸ポケットから手帳を取り出して、何かを確認している。
「だけど、ドキドキしました。部長が『おい、奈々葉!』なんて……。ハハハ……。カップルに見えましたかね、私たち……」
里井が手にした手帳で菜々葉の頭を叩くふりをした。
菜々葉は小猫のように首をすくめる。
「アホか……。見えねえよ。ったく……。ああでもしなきゃ、マスコミなんて振り払えねえよ。宮崎、お前ってホント空気読めねえやつだな」
と里井は言ったあと
「俺たちがウチの人間だって、すぐにバレるさ、そんなもん……」と寂しそうに言った。