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秘密のピアノレッスン
第14章 年明けのレッスン

いよいよ木曜日を迎えた。
レッスンバッグを抱えて、久しぶりの先生のマンションを訪れた。エントランスに入る前に、19階を見上げる。
日は落ちて、1月の暗い夜空が広がっているけれど、先生に会える喜びは大きい。
1901…。ドキドキしながら先生が出るのを待った。
「更紗?開けるよ」
「あっ、はい……」
インターホン越しに更紗って呼ばれちゃったけど、そこにタチバナさんはいないの?
無防備な先生にハラハラしながらロビーに入ると、エレベーターから降りてきたタチバナさんとすれ違った。
「あ、こんばんは」
「こんばんは!」
タチバナさんは、くすりと笑ってブランド物のバッグを肩にかけて出て行った。母が好きなブランドだ。
心に暗い影が差したけれど、振り切るようにしてエレベーターに乗った。
部屋に着くと、先生は玄関まで出てきてくれていた。
私をふわりと抱きしめて、「冷たいなぁ」と笑う。
「外、寒いの」
「そっか。指も冷えてる」
先生はするりと手袋を外して、手の甲にキスをした。
「お姫様みたい……」と恥ずかしくて手を引いたら、「そうだよ」と笑っている。
レッスンバッグを抱えて、久しぶりの先生のマンションを訪れた。エントランスに入る前に、19階を見上げる。
日は落ちて、1月の暗い夜空が広がっているけれど、先生に会える喜びは大きい。
1901…。ドキドキしながら先生が出るのを待った。
「更紗?開けるよ」
「あっ、はい……」
インターホン越しに更紗って呼ばれちゃったけど、そこにタチバナさんはいないの?
無防備な先生にハラハラしながらロビーに入ると、エレベーターから降りてきたタチバナさんとすれ違った。
「あ、こんばんは」
「こんばんは!」
タチバナさんは、くすりと笑ってブランド物のバッグを肩にかけて出て行った。母が好きなブランドだ。
心に暗い影が差したけれど、振り切るようにしてエレベーターに乗った。
部屋に着くと、先生は玄関まで出てきてくれていた。
私をふわりと抱きしめて、「冷たいなぁ」と笑う。
「外、寒いの」
「そっか。指も冷えてる」
先生はするりと手袋を外して、手の甲にキスをした。
「お姫様みたい……」と恥ずかしくて手を引いたら、「そうだよ」と笑っている。

