この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密のピアノレッスン
第14章 年明けのレッスン

ああ。顔が上げられない。
嬉しくて、胸が熱くなって。
誰かにこんなに大事にされる価値なんて、やっぱり自分にはないような気がするから、どうしていいかわからない。
乳白色の大理石の上で、ブーツを脱がずに、ぎゅっとレッスンバッグを抱いていたら、靴を脱いだ先生が振り返った。
「どうしたの?」
「あ、ごめんなさい……脱ぎます」
体を屈めてブーツのサイドファスナーを下ろす。すると、先生がレッスンバッグに手を伸ばし、何もついていないバッグの持ち手に触れた。
クリスマスの晩に、ずっと大事につけていたくまのキーホルダーをなくしたことに気がついていたけれど……。
先生が、「キーホルダーなくして困ってなかった?」と笑う。
「はい、落としちゃったかなと思ってて……」
「昨日、持ってきてくれたんだよ。ゆいちゃんと、ゆいちゃんのお母様が」
「え……」
そう言えば、不安げにゆいちゃんを、あのくまであやした記憶が。
先生はリビングの棚から、くまのキーホルダーと小袋を取り出して、テーブルに置いた。
赤いリボンのついた透明の小袋には、可愛らしいアイスボックスクッキーが入っている。
嬉しくて、胸が熱くなって。
誰かにこんなに大事にされる価値なんて、やっぱり自分にはないような気がするから、どうしていいかわからない。
乳白色の大理石の上で、ブーツを脱がずに、ぎゅっとレッスンバッグを抱いていたら、靴を脱いだ先生が振り返った。
「どうしたの?」
「あ、ごめんなさい……脱ぎます」
体を屈めてブーツのサイドファスナーを下ろす。すると、先生がレッスンバッグに手を伸ばし、何もついていないバッグの持ち手に触れた。
クリスマスの晩に、ずっと大事につけていたくまのキーホルダーをなくしたことに気がついていたけれど……。
先生が、「キーホルダーなくして困ってなかった?」と笑う。
「はい、落としちゃったかなと思ってて……」
「昨日、持ってきてくれたんだよ。ゆいちゃんと、ゆいちゃんのお母様が」
「え……」
そう言えば、不安げにゆいちゃんを、あのくまであやした記憶が。
先生はリビングの棚から、くまのキーホルダーと小袋を取り出して、テーブルに置いた。
赤いリボンのついた透明の小袋には、可愛らしいアイスボックスクッキーが入っている。

