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秘密のピアノレッスン
第16章 呪縛から
先生は、珍しく、苛立ったようにがりがりと頭を掻きむしり、ハンドルに腕を乗せて溜息をつく。

「……お母さんだろ?……君をそんなにおどおどさせて、不安にさせてるのは。昔から、そうなんだろう?」

「ち、違います」

咄嗟に母を庇ったことに、自分でも驚いた。
先生は、悲しい瞳を私に向ける。

「……ごめん。立ち入ったことを」


エンジンがかけられる。けれど、先生は発進させない。

「…………誰もいない家には、帰せない。……お母さんか……誰かに連絡取れる?」

番号は、家に帰ればわかるかもしれないけれど。
こんな状況で、母に連絡するのは怖い。

きっと母は、今、黒い車の男の人といるのだろうから。

「……うっ、う……っぅう」

ぽたりぽたりと涙が頬を伝い落ちる。両手で口を押さえて、どうにか声を押し殺すが、二人しかいないこの空間で、押さえられはしない。
先生は、憂いを秘めた眼差しで、私の髪を何度も何度も撫でた。

嗚咽は強まるばかりで、苦しいぐらいだ。
瞼の傷も腫れているのに。こんなに泣いたら治りも遅くなるかもしれないのに。
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