この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
秘密のピアノレッスン
第16章 呪縛から
廊下の鏡に映る私の顔は、痛々しいものだった。
泣いた分瞼も腫れて、先生にこんな顔を晒していたのが信じられない。

「荷物、それだけでいいの?」

玄関先で待っていた先生が顔を上げた。

「はい……。連絡先はわからなかったので、明日、母が帰ってきていなければ、祖母の家に行って聞こうかなって……」
「そうだな。電話番号ぐらいはうちの実家に聞けばあると思うけど……今は、もういいかな」

先生は纏めた荷物に手を伸ばし、すんなりと持ち上げる。

「え、あの、自分で持ちますから」
「いいの。このぐらいさせてよ」

エスコートが上手なのは、佳苗先生の教育の賜物だろうか。
最後、靴をはく前に先生が呟いた。

「……手紙、書いて行かなくていい?」

……少しだけ、書き置きしようかと思っていた。
先生に見抜かれていたようで恥ずかしいけれど、学校のノートを鞄から出し、その場で書き上げた。

ママへ
しばらく帰りません。
学校には行くので心配しないでください。


きっと、心配もしないだろうが。
そう書いて、シャープペンシルを置こうとしたけれど……。
思い直して、最後に一文だけ書いてびりりと引きちぎり、框に置いた。
/209ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ