この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密のピアノレッスン
第16章 呪縛から

先生の家に着き、シャワーで簡単に汗を流す。
ゆいちゃんのパパから、長湯はしないでと言われているから、さっと浴びてバスルームから出た。
先生のスウェットを借りて、リビングを覗いたが誰もいない。
……仕事部屋にいるのかなあ。
お邪魔はしてはいけない。
リビングのテーブルに着き、ゆいちゃんのクッキーを取り出して口に入れた。
おいしい。私もこんなの作ってみたいな。
さくさくと食べ進めて、喉が詰まる。
「飲み物……」
洗って置かれていたグラスを見て、足が竦む。
投げつけられた母のワイングラスではないのに、さっきの出来事が呼び醒まされて、心がちぎれそうだ。
母がゴミと呼んだクッキーは、とっても優しい愛の味。
……母は今、どうしているのだろう。
涙が止まらなくて、傷が痛い。
「更紗?……シャワー終わった?」
「…あ、はい」
リビングに先生が入ってきた。慌てて涙を拭う。
「なんで敬語に戻ってるの」
「あ、あはは……なんとなく」
「……俺にまで怯えないでよ」
怯えては……いないのだけど。
先生に嫌われるのが怖いとは思う。
よく見たら、先生はジャージを着ていて、家に駆けつけてくれた時からそうだったのだろう。
レッスンが終わって、シャワーを浴びて寛いでいた時に私の電話が来て、びっくりしただろうな。
ゆいちゃんのパパから、長湯はしないでと言われているから、さっと浴びてバスルームから出た。
先生のスウェットを借りて、リビングを覗いたが誰もいない。
……仕事部屋にいるのかなあ。
お邪魔はしてはいけない。
リビングのテーブルに着き、ゆいちゃんのクッキーを取り出して口に入れた。
おいしい。私もこんなの作ってみたいな。
さくさくと食べ進めて、喉が詰まる。
「飲み物……」
洗って置かれていたグラスを見て、足が竦む。
投げつけられた母のワイングラスではないのに、さっきの出来事が呼び醒まされて、心がちぎれそうだ。
母がゴミと呼んだクッキーは、とっても優しい愛の味。
……母は今、どうしているのだろう。
涙が止まらなくて、傷が痛い。
「更紗?……シャワー終わった?」
「…あ、はい」
リビングに先生が入ってきた。慌てて涙を拭う。
「なんで敬語に戻ってるの」
「あ、あはは……なんとなく」
「……俺にまで怯えないでよ」
怯えては……いないのだけど。
先生に嫌われるのが怖いとは思う。
よく見たら、先生はジャージを着ていて、家に駆けつけてくれた時からそうだったのだろう。
レッスンが終わって、シャワーを浴びて寛いでいた時に私の電話が来て、びっくりしただろうな。

