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第16章 呪縛から

「ばか……」

復唱すると、先生は慌てて弁解をして笑った。

「あ、ごめん。そういうところが好きだなって思ってるんだけど。更紗が一生懸命、俺に気持ちを返そうとしてくれるところが。でも、がんばりすぎ」
「それは、奏馬さんも気持ちよくなってほしいから……」

だんだん、先生に撫でられていると瞼が閉じそうに落ちてきた。すでに日にちは変わっているし、普段夜更かしをしたとしても、いつもなら寝ている時間だ。


夢心地で、先生に甘えるようにしがみつく。
こうしていると、どこよりも、誰といるよりも安らげるぬくもり。


「……家族っていいですね。ゆいちゃんの……パパ、私のパパに似てた。私も、あんなあったかいおうちがよかったなあ……」

それから私はすぐ眠りに落ち、先生がどう答えたのかは聞こえなかった。