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秘密のピアノレッスン
第16章 呪縛から

朝。目を開けると、先生が頭を撫でてくれていた。私が起きたことに気づいた先生は、優しく目を細める。
「おはよう。そろそろ学校の時間だよ」
「あ……おはようございます」
寝顔見られてたのかな。恥ずかしい。
口元を拭くと、先生は「よだれはたれてないからね」と苦笑していた。
朝から素敵だな……。
朝ごはんは先生が用意してくれていた。
サーモンのクリームチーズサンドと、チキンのバジルソースサンド。どちらもおいしい。先生はピアノだけでなく料理もできるようだ。私は何にもできなくて情けない。
「不器用なあなたが、料理なんてできるわけないじゃない。余計な事をしないで」
幼心にお手伝いをしようとキッチンに行っても、母は、そう言って包丁ひとつ持たせなかった。
「奏馬さんはすごいですね……本当においしいです」
「え?これ?すごくないよ。さっき実家から材料持ってきただけだし、挟んでソース掛けてるだけだしね」
さっき?
私が寝ている間に、実家に……?
先生は、ムーミンのマグカップに淹れたコーヒーにホットミルクを注ぎ、私の前にことりと置いた。
温かな湯気が立ち、深いコーヒーとミルクの優しい香りが気持ちを落ち着かせる。
「おはよう。そろそろ学校の時間だよ」
「あ……おはようございます」
寝顔見られてたのかな。恥ずかしい。
口元を拭くと、先生は「よだれはたれてないからね」と苦笑していた。
朝から素敵だな……。
朝ごはんは先生が用意してくれていた。
サーモンのクリームチーズサンドと、チキンのバジルソースサンド。どちらもおいしい。先生はピアノだけでなく料理もできるようだ。私は何にもできなくて情けない。
「不器用なあなたが、料理なんてできるわけないじゃない。余計な事をしないで」
幼心にお手伝いをしようとキッチンに行っても、母は、そう言って包丁ひとつ持たせなかった。
「奏馬さんはすごいですね……本当においしいです」
「え?これ?すごくないよ。さっき実家から材料持ってきただけだし、挟んでソース掛けてるだけだしね」
さっき?
私が寝ている間に、実家に……?
先生は、ムーミンのマグカップに淹れたコーヒーにホットミルクを注ぎ、私の前にことりと置いた。
温かな湯気が立ち、深いコーヒーとミルクの優しい香りが気持ちを落ち着かせる。

