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秘密のピアノレッスン
第6章 秘密のレッスン
「き……来ます。先生が、嫌じゃなかったら……ずっと……」

「ありがとう。君も、同じだよ。何があれば、聞くから、一人で悩まないで」


ドクン。胸が波打つ。


聞いてくれるの……?


ああ、でもダメ。
さっきあんなところを見せたばかりなのに。

先生の指先に目が惹きつけられる。
眼鏡を上げて、にこりと微笑みを返してくれた。

クールに見えても、優しい、生徒思いの先生。
優しさは佳苗先生譲りだろう。


あんな痴態を見られてしまって、今後先生が私を恋愛対象に見るとは思えない。

この先ひっそりと片思いを続けても、成就する可能性は皆無だろう。



じゃあ、もう……

私に、失うものなんてないんじゃない?

ほとんど飲み終えて、先生がカップを持って立ち上がろうとした時、とっさに切り出した。



「お願いがあります……」



先生。
バカなお願いしてごめんなさい……。

テーブルの上で向き合い、先生は「ん?」と小首を傾げる。

「先生の指で、弄られたいんです……」
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