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秘密のピアノレッスン
第10章 18歳
この家で、あんなことしたのが、まるで夢だったような気分になって……。
あれは現実だったのか、確かめたい思いがむくむくと湧きあがる。

「先生……」
「ん?」
「一緒に……寝ますか?」

思い切って、冗談に乗った。
変な顔されたら、先生みたいに、「冗談ですよ」って……言えるかな。


「寝ようか。いいよ」

先生は、カップをソーサーに置いて、にこりと微笑んだ。
その表情は、胸が苦しくなるぐらい色気があって、この先に起こる何かを予感せずにはいられなかった。

誘導尋問……だったのかな?
まんまと罠にかかってしまったのだろうか。
恋愛経験がないばっかりに、先生の思考も行動も読めない。


「これなら着られるかな」と先生が出してくれた、杢グレーのパーカー。
リビング横の小部屋で制服を脱いでハンガーにかけ、渡された服をすぽりと着た。

スタンドミラーの前に立ち、くるりと回って着心地を確かめる。
大きくて膝上丈のワンピースみたい。袖はやっぱり長くてふたつ折り曲げた。


逸る胸を両手で押さえて、深呼吸をする。
そして……先生のいる寝室に向かった。
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