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秘密のピアノレッスン
第10章 18歳
先生の背中に寄り添って、手のひらで温もりを感じていると、私が抱える不安なんて簡単に溶けて消えてしまう気がした。

もしかしたら、先生に恥ずかしいところを弄ってもらわなくても、こうして添い寝してもらうだけでもよかったのかなぁ……。

それほど、心地よく幸せな温もりだ。

半分ほど巻かれたロールスクリーン。磨かれた窓から入る冬の陽を見ながら、ぬくぬくと毛布を被る。

昨夜は私もちゃんと寝られていなかったから、ふわあとあくびが出た。ここはソファ以上に先生の匂いに包まれていて、ほっとする。

また小さくあくびをして、先生の背中におでこを当てる。私もこのまま寝ちゃいそうだ。
うとうと微睡んでいたら、先生が寝返りを打って毛布がするりと持っていかれる。

「……ん……更紗ちゃん……?」

ぼんやりした顔で、眠たげに私の名前を呼ぶ。

「ゆっくり寝ていてくださいね」
「んー……せっかく一緒なのにもったいねぇな……」

大人の先生が、今は男の子みたいな口ぶりで。
ピアノの先生をしてない時は、いつもこんな感じなのかなあ。
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