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どうか、その声をもう一度
第3章 冬に溶ける憂鬱

「浮かない顔だね」
「そうですか?」

声をかけられ、顔を上げた。コーヒーを飲みながら椎名さんが私のことを見ている。彼は私の4つ上で、私が営業部に配属されてから色々と面倒を見てくれている頼れる先輩だ。

「俺にはそう見えたけど」
「あはは…いや、なんていうか、クリスマスかぁ、みたいな?」
「あれ?早崎、彼氏と同棲してるんじゃなかった?」
「そうですけど…彼、多分仕事なんで同期で女子会になりそうです」
「楽しそうでいいな。クリスマスなんかさ、別に無理して恋人と過ごさなくたっていいんだよ」
「とか言って。椎名さんは彼女とラブラブクリスマスなんでしょ」
「お前ね…。まあ、うん、そうなるかな」

照れくさそうに頬をかく椎名さんを見ながら、いいなぁ、と思った。秀治が家にちゃんと帰ってきてくれるだけで十分だという気持ちに嘘はない。でも、恋人同士のイベントが近づくと、私は秀治に「ちゃんとした恋人」を求めてしまう。

その一方で、「ちゃんとした恋人」とはなんなのだろうとも考える。私は一度、秀治に振られた。だけど、結局、彼はそろそろ振り向いてくれと言った私に、イエスの返事をくれたのだ。それから一緒に暮らすようになって、時間はかかったけれど、キスも、セックスもするようになった。

こうやって時間が経っていけば、いつか秀治の中の「好きな人」を超えることができるかもしれないと思いながらも、ふとした瞬間に焦りが膨らむ。私はいつになったら秀治の一番になれるのだろう。もう、なっているのだろうか。

秀治は幼い頃からずっと私のヒーローだった。運動神経が良くて、頭も良くて、そして誰よりも優しかった。私は幼い頃の淡い感情を拗らせているだけなのかもしれないと思うこともある。だが、やっぱり秀治以外の誰かを好きになる自分は想像できなかったし、それ以上に秀治の隣に自分以外の誰かに立っていてほしくなかった。
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