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どうか、その声をもう一度
第3章 冬に溶ける憂鬱

知ってるよ、秀治。あなたはね、前後より上下が好きだよね。溢れ出した体液が泡立ってくると、興奮で唾を飲む癖があることも知っている。

そんなことを考えながらなんとか呼吸を整えて、腰を上下させる。ぬちゃぬちゃとやらしい音が寝室を満たしていった。

「あっ…あんっ、あっああっ、しゅ、じ…きもちい?」
「うん、気持ち良いよ」
「わた、し…も…ああっ、きもち…」
「そういう顔してる」

夢中で腰を動かす私を見上げる秀治の顔に恍惚の色が浮かぶ。その表情も好き。身体も頭もどろどろになって、疲れた私が動きを止めるとクリトリスを引っ張られる。ぞくぞくして、気持ち良い。

秀治が起き上がって、キスをくれる。ゆっくりと押し倒され、ほっと息をはく。手綱のように私の手首を掴んだ秀治は強引に腰を動かした。ああ、もう、終わってしまう。イきたくない。イってほしくない。ずっと、こうしてたい。

そう思っても、突かれる度に目の前が真っ白になる。脱力した足は、秀治の腰の動きと連動してシーツを蹴った。

「ああっ…あんっ…あっ、あっ…」

気持ち良くて、苦しくて、だらしなく喘ぐ私の口を秀治はキスで塞ぐ。ずん、と押し込んだ刹那、欲望が弾ける。もし、ゴムが無かったら、なんてまた醜い感情が脳裏を過ぎる。

「満足した?」
「…してない」
「まじかよ」
「うそ。満足した」
「はい、じゃあ寝るぞ」
「待って。キスして」

はいはい、と笑って優しいキス。秀治が後処理を済ませていく間もぐったりと寝転がったままでいると、呆れ顔で笑って下肢を拭ってくれた。
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