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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
「宮本小次郎、とな」
自称近藤勇が薄く笑う。
薄く、と言っても裏がありそうなそういう笑いではない。本当に面白いものを聞かされた、というような笑顔だった。
「なるほど、強そうな名だ。腕も相当立ちそうだしな」
ぶるっ、と花楓が何度目かの身震いをした。一目見ただけで相手の力量を推し量るには相当の腕が必要だ。確かな腕といくつもの戦いを潜り抜けて来た者だけが持つことだけが出来る洞察力。いくつものものを持っているからこそ、相手の力を見極めることが出来る。
「こ、近藤勇って本当に…?」
花楓の声は震えている。
俺はいきなり歴史上の人物を名乗る者が出てきて、いまいち理解が追い付いていない。というよりも、何か騙されているんじゃないか、という気持ちすらある。
しかし、花楓は近藤勇が本物であると信じているようだ。
この男が着ているものは新選組の衣装である、段だら模様の羽織。そして強大な剣気。いくら竹刀や木刀の戦いしか知らない俺でも、この男がいくつもの修羅場を潜り抜けて来たのであろうということは想像出来る。
それらは、新選組の局長という男なら何一つ不自然ではない。
花楓が「本当に」と問い替えたのは、きっとそれを認めたくないからだ。もしも本当に近藤勇なら、いかに剣術が好きだからといっても一介の高校生に過ぎない俺達の手に負える相手ではない。
「正真正銘の近藤勇である。現世に立つのは随分と久しぶりだが」
もし、もしもこの男が本当に本物の近藤勇だとして…
「何でこんなところに? 何をしているんだ?」
ふむ、と近藤が頷く。夜露に濡れたベンチを目で指し示す。
「座るといい。儂も少し話がしたい」
自称近藤勇が薄く笑う。
薄く、と言っても裏がありそうなそういう笑いではない。本当に面白いものを聞かされた、というような笑顔だった。
「なるほど、強そうな名だ。腕も相当立ちそうだしな」
ぶるっ、と花楓が何度目かの身震いをした。一目見ただけで相手の力量を推し量るには相当の腕が必要だ。確かな腕といくつもの戦いを潜り抜けて来た者だけが持つことだけが出来る洞察力。いくつものものを持っているからこそ、相手の力を見極めることが出来る。
「こ、近藤勇って本当に…?」
花楓の声は震えている。
俺はいきなり歴史上の人物を名乗る者が出てきて、いまいち理解が追い付いていない。というよりも、何か騙されているんじゃないか、という気持ちすらある。
しかし、花楓は近藤勇が本物であると信じているようだ。
この男が着ているものは新選組の衣装である、段だら模様の羽織。そして強大な剣気。いくら竹刀や木刀の戦いしか知らない俺でも、この男がいくつもの修羅場を潜り抜けて来たのであろうということは想像出来る。
それらは、新選組の局長という男なら何一つ不自然ではない。
花楓が「本当に」と問い替えたのは、きっとそれを認めたくないからだ。もしも本当に近藤勇なら、いかに剣術が好きだからといっても一介の高校生に過ぎない俺達の手に負える相手ではない。
「正真正銘の近藤勇である。現世に立つのは随分と久しぶりだが」
もし、もしもこの男が本当に本物の近藤勇だとして…
「何でこんなところに? 何をしているんだ?」
ふむ、と近藤が頷く。夜露に濡れたベンチを目で指し示す。
「座るといい。儂も少し話がしたい」