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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
近藤に促されるまま、俺と花楓は並んでベンチに腰を下ろす。近藤は大きく足を開き、その間に鞘ぐるみ刀を立てて悠然と腰を落ち着ける。
な、何か写真でこういうポーズの侍を見たことがあるぞ…
「いい時代だな、少年」
「え…」
「物が豊かで飢えに苦しむ者もいない。日本はいい国になったのだな」
「はあ…」
曖昧な返事をする俺を近藤がじろっと睨みつける。
「男なら剣客なら、返事ははっきりしたまえ」
「…すいません」
ふむ、とまた近藤が頷く。どうやら口癖らしい。
「まあ、よい。儂は現世に降り立っていろいろなところを見て回った。驚いたぞ」
好奇心に顔を輝かせて近藤が言う。江戸時代とこの時代を比べて、本当に驚き発展を喜んでいるように見える。
「箱のような大きな建物に何百人も住んでおる。馬よりも早い乗り物に乗った時は目が回った。渋谷という街はものすごい混雑であった。儂はそこで『ぷりくら』とやらを撮った」
「プ、プリクラを…?」
「ふむ。見るがいい」
新しいおもちゃを自慢する子供のように嬉しそうに刀の鞘を持ち上げる。鞘の鍔に近いところに小さな長方形のものが貼り付けてある。
よく目を凝らしてみれば制服姿の女子高生三人に囲まれて厳つい顔の近藤が真ん中に写っている。
「ほとがらもあっという間に撮れるようになったのだな。しかも色鮮やかだ。実に素晴らしい」
「はあ、あの…お金はどうしたんですか?」
どうリアクションしていいか分からず、間の抜けた質問をしてしまった俺に近藤は得意気な顔で答えた。
な、何か写真でこういうポーズの侍を見たことがあるぞ…
「いい時代だな、少年」
「え…」
「物が豊かで飢えに苦しむ者もいない。日本はいい国になったのだな」
「はあ…」
曖昧な返事をする俺を近藤がじろっと睨みつける。
「男なら剣客なら、返事ははっきりしたまえ」
「…すいません」
ふむ、とまた近藤が頷く。どうやら口癖らしい。
「まあ、よい。儂は現世に降り立っていろいろなところを見て回った。驚いたぞ」
好奇心に顔を輝かせて近藤が言う。江戸時代とこの時代を比べて、本当に驚き発展を喜んでいるように見える。
「箱のような大きな建物に何百人も住んでおる。馬よりも早い乗り物に乗った時は目が回った。渋谷という街はものすごい混雑であった。儂はそこで『ぷりくら』とやらを撮った」
「プ、プリクラを…?」
「ふむ。見るがいい」
新しいおもちゃを自慢する子供のように嬉しそうに刀の鞘を持ち上げる。鞘の鍔に近いところに小さな長方形のものが貼り付けてある。
よく目を凝らしてみれば制服姿の女子高生三人に囲まれて厳つい顔の近藤が真ん中に写っている。
「ほとがらもあっという間に撮れるようになったのだな。しかも色鮮やかだ。実に素晴らしい」
「はあ、あの…お金はどうしたんですか?」
どうリアクションしていいか分からず、間の抜けた質問をしてしまった俺に近藤は得意気な顔で答えた。