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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
「この『じぇーけー』という女子(おなご)が出してくれた。太ももを隠さないなどなんて破廉恥な娘だと思ったが、話をしてみればなかなかよい娘達であった。こすぷれとかなんとか騒ぎ立てられ、最後にはくれーぷとかいう甘ったるいものを食わせられたのには参ったが」

 な、なるほど。つまり新選組のコスプレをした愉快なおじさんとでも思われて、女子高生にプリクラとクレープを奢ってもらったってわけね…

「ついでに儂に向かって金を渡すものが多かったのにも驚いた。儂はただ立って街を見ていただけなのだが、今の時代にも新選組の威光は衰えていなかったのかと嬉しかったぞ」

 それは…女子高生の件から察するにコスプレした大道芸人か何かと間違われただけなんじゃ…?

 という言葉は口からは出てこなかった。

 渋谷で女子高生に囲まれてクレープを食べる近藤勇の姿は、もはやツッコミどころしかないが、うかつに「なんでやねん」とかやったらすぐに強烈な反撃が飛んできそうだ。さすがに時代を背負って来た剣客なだけはある。

 そう、俺はこの男が新選組の近藤勇だと信じはじめている。

 何故か、と聞かれても答えるのは難しい。難しいが一言で言えば「カリスマを感じる」ということになるのだろうか。
 それがあるからこそ、女子高生が近藤にプリクラやクレープを奢ったのだろうし、その強烈なカリスマを得るまでに経た戦いの日々が重厚な剣気を育んだのだろう。

 本当にいい時代になった。月を見上げながら近藤が言う。

「しかし」

 静かな声。近藤を取り囲む気配が一変した。

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