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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第6章 神速! 沖田総司!!
「いきなり押しかけてしまって、本当にすませんでした」
「いや、いいよ。ここで待ってれば土方も来るかもしれないんだろ」
「はい。あ、でも勘違いしないでくださいね。土方さんが来たからと言っても二人がかりで挑もうなんてことは考えていませんから」

 猫を抱きながらさらっと危なっかしいことを言う。

「分かってるよ。でも土方を待たなくてもいいのか?」
「だって」

 沖田は猫が好きらしい。話ながらも撫でる手は止まらない。

「あの人いつ来るか分からないですし。それに新選組の隊規には、敵に背を見せるな、というのがあります。土方さんが考えたんですけどな」

 敵前逃亡は侍道不覚悟。隊規違反は切腹。厳しい掟が新選組を強くした。

「あ、そうそう、こちらに来た新選組は残すは僕と土方さんだけです」
「え、そうなの?」
「はい」

 猫がゴロゴロと喉を鳴らしながら額を沖田の膝に擦り付ける。沖田は嬉しそうに指先で猫をくすぐる。

「土方さんが道を封じてきましたから」
「道?」
「はい。近藤さんのように精神力が強く、断固たる目的がある人は自力でこちらに来ることが出来ます。その際に通った道を辿れば精神力がさほど強くなくてもこちらに出てこれるようになります」
「そうなのか」
「ええ。生前こちらで付き合いのあった人が作った道は見つけやすいみたいです。近藤さんを慕っていた隊士は多いですから、それでこちらに何人も出てきてしまったんですね。
 永倉さんや原田さんは彼らなりの目的があったようですが」

 永倉は袂を分かった近藤と、今度こそ最後まで共に戦うため。
 原田の目的は聞けていないが、おそらく近藤や永倉の後を追ってきたのだろう。原田と永倉は仲が良かったと言われているし、義理人情に厚い男だったらしい。彼らの助けになりたかったのではないだろうか。

「これ以上こちらに新選組は出てきません。本来なら土方さんが迷わなければもっと早く僕達も駆けつけていました。そうしたらあなたとの戦いの結果も変わっていたかもしれません」
「…そうかもな」

 ひゅうっと乾いた風が吹く。
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