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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
見た目の変化は何もない。相変わらずベンチに座ったまま、その目は月を見上げている。しかし周囲の空気が冷たく冷えていくのが見えるような気がした。
「…絆はどこへ行った?」
「絆…?」
自らを抱くように花楓が両腕を体に巻き付ける。近藤の変化を感じ取ったようだ。
ふむ、と近藤がまた頷く。
「この数年、この国はたくさんの厄災に見舞われたな。大きな地震がいくつもあった。津波に多くのものが飲み込まれもした。しかしそれでもこの国はそれを乗り越えてきた。まだ完全ではないかもしれんが明日へと繋がる希望を見出した」
近藤の言う通り。日本は大きな地震に立て続けに見舞われた。少し前には関西淡路大地震。そして新潟、東日本、熊本…
たくさんの命が失われた。街が壊れた。それでも日本は沈まなかった。立ち上がった。絶望のそこから太陽を目指して。
「それが何故か分かるか。何故瀕死の国が立ち直ったか分かるか、少年」
俺を捉えるその目は、深く強い光を宿していた。
「分かるか、少年」
重ねて問う近藤に俺は答えを返せなかった。何故、と言われても分からないし、近藤がこの問いの先に何を求めているのかも分からなかったからだ。
「…絆はどこへ行った?」
「絆…?」
自らを抱くように花楓が両腕を体に巻き付ける。近藤の変化を感じ取ったようだ。
ふむ、と近藤がまた頷く。
「この数年、この国はたくさんの厄災に見舞われたな。大きな地震がいくつもあった。津波に多くのものが飲み込まれもした。しかしそれでもこの国はそれを乗り越えてきた。まだ完全ではないかもしれんが明日へと繋がる希望を見出した」
近藤の言う通り。日本は大きな地震に立て続けに見舞われた。少し前には関西淡路大地震。そして新潟、東日本、熊本…
たくさんの命が失われた。街が壊れた。それでも日本は沈まなかった。立ち上がった。絶望のそこから太陽を目指して。
「それが何故か分かるか。何故瀕死の国が立ち直ったか分かるか、少年」
俺を捉えるその目は、深く強い光を宿していた。
「分かるか、少年」
重ねて問う近藤に俺は答えを返せなかった。何故、と言われても分からないし、近藤がこの問いの先に何を求めているのかも分からなかったからだ。