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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
ぱっとベンチから離れることが出来たのは幼い頃から体に染みつけられた剣客としての反射みたいなものだった。いつもは穏やかなじーちゃんが時折鋭い殺気を発することがある。俺や花楓はそのたびに反射的に距離を置く、あるいは手にした竹刀を構える。
そして殺気の方を見てみれば、いつも通りにこにこしたじーちゃんがお茶を啜っていたりする。
そうやって俺達は一流の剣客のみが発することが出来る殺気や剣気を教え込まれてきた。
だから近藤から一息で距離をとることが出来たのは日々の鍛錬のおかげだ。しかし、その激しい剣気を発した相手はいまだにベンチに腰を下ろしたまま。刀には手を添えているだけ。
なのに、この剣気…
俺はいつの間にか刀を抜いていた。地面い落ちた鞘が爪先に触れて、それで抜刀していたことに気が付いた。自分でも気づかないまま、近藤の剣気、いや殺気によって刀を抜かされていた。
「お前が辻斬りか…」
「そうだ」
ゆったりとした動きで近藤が立ち上がる。
「儂が絆をもう一度、この時代に取り戻す。斬られた者達には申し訳なく思うが、仕方のない犠牲だった」
すらり、と刀が抜かれる。肉厚、幅広の刀身が月の光をまばゆく映す。
名刀、長曽祢虎徹。ぞわっと俺の背中が粟立った。
俺はすでに刀を抜いている。近藤も抜いた。それはつまりこの後、刀を合わせる、ということ。剣を交えて戦う、ということ。
戦う…? この男と?
そして殺気の方を見てみれば、いつも通りにこにこしたじーちゃんがお茶を啜っていたりする。
そうやって俺達は一流の剣客のみが発することが出来る殺気や剣気を教え込まれてきた。
だから近藤から一息で距離をとることが出来たのは日々の鍛錬のおかげだ。しかし、その激しい剣気を発した相手はいまだにベンチに腰を下ろしたまま。刀には手を添えているだけ。
なのに、この剣気…
俺はいつの間にか刀を抜いていた。地面い落ちた鞘が爪先に触れて、それで抜刀していたことに気が付いた。自分でも気づかないまま、近藤の剣気、いや殺気によって刀を抜かされていた。
「お前が辻斬りか…」
「そうだ」
ゆったりとした動きで近藤が立ち上がる。
「儂が絆をもう一度、この時代に取り戻す。斬られた者達には申し訳なく思うが、仕方のない犠牲だった」
すらり、と刀が抜かれる。肉厚、幅広の刀身が月の光をまばゆく映す。
名刀、長曽祢虎徹。ぞわっと俺の背中が粟立った。
俺はすでに刀を抜いている。近藤も抜いた。それはつまりこの後、刀を合わせる、ということ。剣を交えて戦う、ということ。
戦う…? この男と?