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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
「かかってこい、少年。お前が儂を倒せれば厄災は去る。時代を守ってみせよ」
「ま、待ってよ!」
悲鳴にも似た金切り声が夜気を斬り裂く。声の方を振り返れば花楓が、歯の根も合わないほどがたがたと震えながら声を絞り出している。
「時代を守れって、あたし達まだ高校生だよ、子供だよ! そんなこと出来るわけないじゃない!」
ふむ、と近藤が頷く。花楓の決死の声は近藤に届いた。
「言いたいことは分かる。儂らの頃とは時代が違うということもな。儂らの時代では元服といって十五歳で大人として扱われていた。しかし、剣を持つ以上関係ない。命のやり取りにそれは理由にならない。
何故なら」
すっと剣先を向けられて花楓は唇まで色を失くす。
「何故ならその剣の後ろには守るものがあるからだ。敵は突然現れる。そちらの都合には関係なくな。その時に泣き言を言ってもはじまらんだろう」
近藤の目が、また俺に向けられる。
「何を守るかは人それぞれだ。しかし、守るべきものは確かにあるはずだ」
花楓の構える小太刀が震え、鍔がかたかたと音を立てる。
俺の足も震えて上手く踏み込めない。足に、体に力が巡らない。気が散じて集中出来ない。
これが真剣での立ち合いなのか。命を懸けた戦いなのか…
こんなことになるなんて考えてもいなかった。せいぜいが刀が好きなちょっと頭のおかしなやつが真剣を振り回しているのだろう。もしかしたらそいつは沙川道場で剣を学んだ者かもしれない、それで調子に乗ったか自信を付けたか。ならば俺達が解決しなければならない。そんなくらいにしか考えていなかった。
しかし、俺達の相手は時代を血で彩ってきた新選組の局長だった。
「行くぞ、少年」
戦いの火蓋は近藤の鋭い一撃で斬り落とされた。
「ま、待ってよ!」
悲鳴にも似た金切り声が夜気を斬り裂く。声の方を振り返れば花楓が、歯の根も合わないほどがたがたと震えながら声を絞り出している。
「時代を守れって、あたし達まだ高校生だよ、子供だよ! そんなこと出来るわけないじゃない!」
ふむ、と近藤が頷く。花楓の決死の声は近藤に届いた。
「言いたいことは分かる。儂らの頃とは時代が違うということもな。儂らの時代では元服といって十五歳で大人として扱われていた。しかし、剣を持つ以上関係ない。命のやり取りにそれは理由にならない。
何故なら」
すっと剣先を向けられて花楓は唇まで色を失くす。
「何故ならその剣の後ろには守るものがあるからだ。敵は突然現れる。そちらの都合には関係なくな。その時に泣き言を言ってもはじまらんだろう」
近藤の目が、また俺に向けられる。
「何を守るかは人それぞれだ。しかし、守るべきものは確かにあるはずだ」
花楓の構える小太刀が震え、鍔がかたかたと音を立てる。
俺の足も震えて上手く踏み込めない。足に、体に力が巡らない。気が散じて集中出来ない。
これが真剣での立ち合いなのか。命を懸けた戦いなのか…
こんなことになるなんて考えてもいなかった。せいぜいが刀が好きなちょっと頭のおかしなやつが真剣を振り回しているのだろう。もしかしたらそいつは沙川道場で剣を学んだ者かもしれない、それで調子に乗ったか自信を付けたか。ならば俺達が解決しなければならない。そんなくらいにしか考えていなかった。
しかし、俺達の相手は時代を血で彩ってきた新選組の局長だった。
「行くぞ、少年」
戦いの火蓋は近藤の鋭い一撃で斬り落とされた。