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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第2章 決戦! 近藤勇!!
じーちゃんは静かにゆっくり語る。
「狭川は元々悪霊と戦うことを義務付けられておった。江戸時代あたりまで遡れば人と闇の距離は今よりもずっと近い。時に人を惑わし害をなす悪霊が出たものじゃ。狭川はそれと戦い続けた。人知れずな。
そして今もなお、名を沙川と変えて戦っておるのじゃ」
じーちゃんの話は、目の前に近藤勇が立っていたのと同じように、にわかには信じがたいものだった。
「つまり花楓のお父さんも近藤みたいなのが出てきて、そいつらと戦ったってこと?」
「そうじゃ。その戦いで命を落としたんじゃ」
「…それ、花楓は知ってるの?」
「知っておるよ。幼い頃じゃったが花楓なりに父の死の意味を理解したようじゃ」
それじゃあ花楓はそれを知りながらも、それでも普段はそれを感じさせず明かるく振る舞っていた、ということか。俺は何年も一緒にいたのに全く気付かなかった。
花楓のお父さんが死んだのは、俺がこの家に来る少し前。俺が三歳、花楓が四歳の時だ。
俺が剣術を習いはじめたのは五歳の時。忍術の修行は十歳になってからだった。
花楓はその間、俺の近くにいてくれた。でも、父親の死について俺に何かを感じさせるような素振りは一切見せなかった。俺が子供だったこともあるが、本当に何も気付けなかった。
思い返せば近藤と対峙した時、花楓は必要以上に怯えてはいなかっただろうか?
俺は近藤勇という非常識な存在や恐ろしいまでの剣気を恐れていたのだと思った。
でも、きっと違う。もちろんそれもあるのだろうけど、それだけじゃない。
花楓は父親のことを考えたんだ。そして戦いの中で死んだということも。
もしかしたら今度は俺が殺されると思ったのだろうか。
あんたに怖がっていた。怯えていた。そんな花楓ははじめて見た。
「狭川は元々悪霊と戦うことを義務付けられておった。江戸時代あたりまで遡れば人と闇の距離は今よりもずっと近い。時に人を惑わし害をなす悪霊が出たものじゃ。狭川はそれと戦い続けた。人知れずな。
そして今もなお、名を沙川と変えて戦っておるのじゃ」
じーちゃんの話は、目の前に近藤勇が立っていたのと同じように、にわかには信じがたいものだった。
「つまり花楓のお父さんも近藤みたいなのが出てきて、そいつらと戦ったってこと?」
「そうじゃ。その戦いで命を落としたんじゃ」
「…それ、花楓は知ってるの?」
「知っておるよ。幼い頃じゃったが花楓なりに父の死の意味を理解したようじゃ」
それじゃあ花楓はそれを知りながらも、それでも普段はそれを感じさせず明かるく振る舞っていた、ということか。俺は何年も一緒にいたのに全く気付かなかった。
花楓のお父さんが死んだのは、俺がこの家に来る少し前。俺が三歳、花楓が四歳の時だ。
俺が剣術を習いはじめたのは五歳の時。忍術の修行は十歳になってからだった。
花楓はその間、俺の近くにいてくれた。でも、父親の死について俺に何かを感じさせるような素振りは一切見せなかった。俺が子供だったこともあるが、本当に何も気付けなかった。
思い返せば近藤と対峙した時、花楓は必要以上に怯えてはいなかっただろうか?
俺は近藤勇という非常識な存在や恐ろしいまでの剣気を恐れていたのだと思った。
でも、きっと違う。もちろんそれもあるのだろうけど、それだけじゃない。
花楓は父親のことを考えたんだ。そして戦いの中で死んだということも。
もしかしたら今度は俺が殺されると思ったのだろうか。
あんたに怖がっていた。怯えていた。そんな花楓ははじめて見た。