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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第3章 卑劣! 武田観柳斎!!

「花楓」
母屋の花楓の部屋。襖の前で声をかける。稽古が終わって掃除も済み、それぞれが自室で過ごす時間だ。
「小次郎?」
襖の向こうから戸惑いを含んだ花楓の声が聞こえた。いつもの花楓らしくない声だ。
「開けてもいいか?」
「うん、いいよ」
すらり、と襖を開く。久しぶりの花楓の部屋だ。
俺も子供の頃は母屋に住んでいたけど、中学生になった後は離れに部屋をもらってそちらに住んでいる。そっちもトイレと洗面台はついているが、食事や風呂は母屋だ。だからしょっちゅう母屋には来ているけど、花楓の部屋は本当に久しぶりだった。
さすがに高校生にもなれば異性として意識してしまうというのもあるし、あまり来ないようにしていた。
「どうしたの?」
畳敷きの部屋の隅にベッドと勉強机、中央にはテレビと向かい合わせるようにコタツが置いてある。布団カバーもカーテンもシンプルなデザインのものだけど、枕元には可愛らしい猫のぬいぐるみが居座っている。花楓は猫好きで猫グッズを集めている。
ほとんど昔のまんまだ。何だか懐かしい。
「うん、実はさ、特訓をしたいと思って」
「特訓?」
「うん。あの『力』を使うと体が軽くなってイメージよりも早く動くんだ。そのズレを直したくて。道場での稽古の時もあの『力』を使えないかなって」
「…やっぱりそうきたか」
「え?」
小さなつぶやきを聞き逃した俺に「ううん」と首を振る花楓。
「あのさ、いいんじゃないかな、特訓とかしなくても」
「でもさ」
「だって小次郎十分強いし。それにあたしも『力』を使うと疲れちゃうのよね」
「いや、だからさ。花楓にも慣れてもらうためにもさ」
いつになく歯切れが悪い。というか剣術大好き&熱血娘の花楓なら
「特訓!? やらいでか!」くらいの勢いで請け負ってくれると思ったんだけど。
どうも花楓は『力』のことになると、態度が煮え切らない。
「まあ考えておくわよ。今日は稽古で疲れちゃったし宿題もしなくちゃだし、また今度ね」
そう言われてしまうと女子の部屋にいるという居心地の悪さも手伝って、長居をするのは憚られる。大人しく引き下がることにした。
「分かった。じゃあまた今度な。頼むよ」
「うん」
…何だか花楓がちょっとおかしいぞ?
母屋の花楓の部屋。襖の前で声をかける。稽古が終わって掃除も済み、それぞれが自室で過ごす時間だ。
「小次郎?」
襖の向こうから戸惑いを含んだ花楓の声が聞こえた。いつもの花楓らしくない声だ。
「開けてもいいか?」
「うん、いいよ」
すらり、と襖を開く。久しぶりの花楓の部屋だ。
俺も子供の頃は母屋に住んでいたけど、中学生になった後は離れに部屋をもらってそちらに住んでいる。そっちもトイレと洗面台はついているが、食事や風呂は母屋だ。だからしょっちゅう母屋には来ているけど、花楓の部屋は本当に久しぶりだった。
さすがに高校生にもなれば異性として意識してしまうというのもあるし、あまり来ないようにしていた。
「どうしたの?」
畳敷きの部屋の隅にベッドと勉強机、中央にはテレビと向かい合わせるようにコタツが置いてある。布団カバーもカーテンもシンプルなデザインのものだけど、枕元には可愛らしい猫のぬいぐるみが居座っている。花楓は猫好きで猫グッズを集めている。
ほとんど昔のまんまだ。何だか懐かしい。
「うん、実はさ、特訓をしたいと思って」
「特訓?」
「うん。あの『力』を使うと体が軽くなってイメージよりも早く動くんだ。そのズレを直したくて。道場での稽古の時もあの『力』を使えないかなって」
「…やっぱりそうきたか」
「え?」
小さなつぶやきを聞き逃した俺に「ううん」と首を振る花楓。
「あのさ、いいんじゃないかな、特訓とかしなくても」
「でもさ」
「だって小次郎十分強いし。それにあたしも『力』を使うと疲れちゃうのよね」
「いや、だからさ。花楓にも慣れてもらうためにもさ」
いつになく歯切れが悪い。というか剣術大好き&熱血娘の花楓なら
「特訓!? やらいでか!」くらいの勢いで請け負ってくれると思ったんだけど。
どうも花楓は『力』のことになると、態度が煮え切らない。
「まあ考えておくわよ。今日は稽古で疲れちゃったし宿題もしなくちゃだし、また今度ね」
そう言われてしまうと女子の部屋にいるという居心地の悪さも手伝って、長居をするのは憚られる。大人しく引き下がることにした。
「分かった。じゃあまた今度な。頼むよ」
「うん」
…何だか花楓がちょっとおかしいぞ?

