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第3章 卑劣！　武田観柳斎！！

　俺達が現場に向かっている間に、ちょっと解説。

　俺達の忍装束とは、皆さんが想像するいわゆる「俺が忍者だ！」というような恰好ではない。期待を裏切って申し訳ないが、現代の忍装束はフード付きのジャージだ。これだと万が一見とがめられても言い訳も出来る。

　普通のジャージと違うのは生地が超高級品だということ。ちょっと転んだり擦ったりしたくらいじゃ全然傷付かない。そして肩と肘、膝とフードの内側に衝撃吸収用のパッドが入っている。
　さらに全身に動きを妨げないように関節部分を避けて、細い鋼線が編み込まれている。鋼線は鎖帷子と同じように相手の攻撃から身を守ってくれるけど、それで全身を覆ってしまうと動きが制限されるし重くもなる。あくまで部分部分だけではあるけど、各部の補強のために編み込まれている。

　色も真っ黒じゃなくて、濃いめの灰色。
　真っ暗だと夜になると逆に影が浮いてしまう。現代では本当の真っ暗闇なんてないから真っ黒な装束よりも濃い灰色の方が何かと都合がいい。
　電柱やアスファルトに溶け込めるし、コンクリート打ちっぱなしも建物もほぼ同じ色だ。

　フードをかぶって頭を隠し衝撃吸収材と鋼線が入ったネックウォーマーで口元を覆う。これは素手での戦いの時には拳の保護にも使える。

　忍術だけではなく姿形も現代風に改めていく。
　そうやって忍は生き続けて来た。