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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第4章 脱童貞! 宮本小次郎!!
朝ご飯の間、俺と花楓の間の空気はちょっとぎくしゃくしていた。
じーちゃんと花楓のお母さんだけがいつも通りに味噌汁を啜り、炊き立たてご飯を口に運ぶ。冬休みの日曜日の朝。時間はいつもよりゆっくりと流れている。もう少しすれば年末というだけで理由もなく朝も夜も慌ただしい気持ちになる。
花楓は努めていつも通りに振る舞おうとしているが、ちょっと顔色が悪いし動きがぎこちない。
「小次郎、お醤油」
それでも俺が目玉焼きに箸を付けようとすると、見慣れた朝の風景を作ろうとしてくれている。
「ありがと」
醤油差しを運ぶ細い指を見ながら、俺は武田の言葉を思い出す。
俺自身も気付かなかった気持ち。いや、気付いていたけど認めたくなかった気持ち。
それを言われた。花楓本人の目の前で。
俺は花楓に惚れている。姉弟のように育ったとはいっても血の繋がっていない男女。お互いをよく知る間柄。寝起きの顔も、寝起きのコジローも見られた仲。
いつの間にか、俺は花楓に姉以上の気持ちを抱いていた。気が付いた時にはそうなっていた。
それでも俺はその気持ちを認めたくなかった。
認めてしまえば今の関係が崩れてしまうかもしれない。そう思ったから。
全くベタで王道な理由で申し訳ない。でも気持ちを分かってくれる人は多いと思う。仲のいい異性との関係を壊したくなくて告白が出来ないでいる人はきっといるはずだ。俺の場合、その相手と生活も共にしている。
一緒に笑い、道場で汗を流し、ほかほかのご飯を食べた後風呂に入ろうとして先に楓が入っているのに気付いてドキドキする。そして夜は「おやすみ」を言ってそれぞれの部屋で眠り、朝にはまた「おはよう」と食卓を囲む。
好きな人と一緒に住めて羨ましいと思うだろうが、この環境は時に切ない。
もし関係が崩れてしまえば、今の心地よい時間も全て失ってしまう。
お風呂上がりの火照った顔も、ピーマンをよけて食べる姿も、学校帰りの冷えた体をコタツで温めながらお茶を飲む時間も。
全部が見れなくなってしまう。全部を失くしてしまう。
姉で恋人なんて都合が良すぎる。
じーちゃんと花楓のお母さんだけがいつも通りに味噌汁を啜り、炊き立たてご飯を口に運ぶ。冬休みの日曜日の朝。時間はいつもよりゆっくりと流れている。もう少しすれば年末というだけで理由もなく朝も夜も慌ただしい気持ちになる。
花楓は努めていつも通りに振る舞おうとしているが、ちょっと顔色が悪いし動きがぎこちない。
「小次郎、お醤油」
それでも俺が目玉焼きに箸を付けようとすると、見慣れた朝の風景を作ろうとしてくれている。
「ありがと」
醤油差しを運ぶ細い指を見ながら、俺は武田の言葉を思い出す。
俺自身も気付かなかった気持ち。いや、気付いていたけど認めたくなかった気持ち。
それを言われた。花楓本人の目の前で。
俺は花楓に惚れている。姉弟のように育ったとはいっても血の繋がっていない男女。お互いをよく知る間柄。寝起きの顔も、寝起きのコジローも見られた仲。
いつの間にか、俺は花楓に姉以上の気持ちを抱いていた。気が付いた時にはそうなっていた。
それでも俺はその気持ちを認めたくなかった。
認めてしまえば今の関係が崩れてしまうかもしれない。そう思ったから。
全くベタで王道な理由で申し訳ない。でも気持ちを分かってくれる人は多いと思う。仲のいい異性との関係を壊したくなくて告白が出来ないでいる人はきっといるはずだ。俺の場合、その相手と生活も共にしている。
一緒に笑い、道場で汗を流し、ほかほかのご飯を食べた後風呂に入ろうとして先に楓が入っているのに気付いてドキドキする。そして夜は「おやすみ」を言ってそれぞれの部屋で眠り、朝にはまた「おはよう」と食卓を囲む。
好きな人と一緒に住めて羨ましいと思うだろうが、この環境は時に切ない。
もし関係が崩れてしまえば、今の心地よい時間も全て失ってしまう。
お風呂上がりの火照った顔も、ピーマンをよけて食べる姿も、学校帰りの冷えた体をコタツで温めながらお茶を飲む時間も。
全部が見れなくなってしまう。全部を失くしてしまう。
姉で恋人なんて都合が良すぎる。