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臥龍の珠
第3章 三顧の礼
雪のちらつく山道を、数頭の騎馬がゆっくりと進んでいた。質素な庵にたどり着くと男たちは馬から降り、扉を叩いた。
「はい。どちら様でしょうか?」
中から出てきたのは、長身の若い男性だった。
「私は劉備と申す者。あなたが臥龍先生であられせられますか?」
「いいえ、私は諸葛亮の弟で、均と申します。兄夫婦は所用で襄陽まで出ております。帰宅は明日の予定ですので、明後日ならば在宅していると思います」
不在と知り、背後の男たちは不満げな顔つきだ。何か言いたげな彼らを制止し、劉備は均に丁寧に頭を下げた。
「そうですか」
「申し訳ありません。先ほどから雪も降り始めました。あばら家ではございますが、よろしければ兄が戻るまで我が家にお泊まりください」
背後に控えた男たちは乗り気のようで、一様にほっとした顔になる。だが、劉備がそれを断った。
「それでは先生にご迷惑をお掛けすることになる。また明後日、こちらから伺うといたそう」
引き留める均を断り、劉備は亮の庵を後にした。
「はい。どちら様でしょうか?」
中から出てきたのは、長身の若い男性だった。
「私は劉備と申す者。あなたが臥龍先生であられせられますか?」
「いいえ、私は諸葛亮の弟で、均と申します。兄夫婦は所用で襄陽まで出ております。帰宅は明日の予定ですので、明後日ならば在宅していると思います」
不在と知り、背後の男たちは不満げな顔つきだ。何か言いたげな彼らを制止し、劉備は均に丁寧に頭を下げた。
「そうですか」
「申し訳ありません。先ほどから雪も降り始めました。あばら家ではございますが、よろしければ兄が戻るまで我が家にお泊まりください」
背後に控えた男たちは乗り気のようで、一様にほっとした顔になる。だが、劉備がそれを断った。
「それでは先生にご迷惑をお掛けすることになる。また明後日、こちらから伺うといたそう」
引き留める均を断り、劉備は亮の庵を後にした。