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臥龍の珠
第3章 三顧の礼
「何で断ったんだよ、兄者。素直に世話になればいいじゃねえか」
背後に控えていた男たちの一人、虎髭を蓄えた張飛が不満を漏らした。わざわざ寒さをおして隆中くんだりまで足を運んだのに、とんだ無駄足だった。
「兄者には兄者の考えがあるのだ。お前ごときが差し出た口を挟むな、益徳」
張飛をたしなめたのは、長い顎髭が美しい関羽。張飛と関羽の二人は若い時分義兄弟の杯を酌み交わした者たちだ。その背後には、年月の長さでは及ばないものの武勇ではひけをとらない剛の者超雲が無言でつき従っている。
「礼をもって招こうとする相手の家に厄介になるなど、言語道断。改めて出直すのが筋というものだ」
「そういうもんかねえ」
「うむ」
「くあー、寒い! 雪に埋もれちまわないうちに、早く戻ろうぜ」
「わかった、わかった」
劉備たち一行は、元来た山道をとぼとぼと引き返していった。
背後に控えていた男たちの一人、虎髭を蓄えた張飛が不満を漏らした。わざわざ寒さをおして隆中くんだりまで足を運んだのに、とんだ無駄足だった。
「兄者には兄者の考えがあるのだ。お前ごときが差し出た口を挟むな、益徳」
張飛をたしなめたのは、長い顎髭が美しい関羽。張飛と関羽の二人は若い時分義兄弟の杯を酌み交わした者たちだ。その背後には、年月の長さでは及ばないものの武勇ではひけをとらない剛の者超雲が無言でつき従っている。
「礼をもって招こうとする相手の家に厄介になるなど、言語道断。改めて出直すのが筋というものだ」
「そういうもんかねえ」
「うむ」
「くあー、寒い! 雪に埋もれちまわないうちに、早く戻ろうぜ」
「わかった、わかった」
劉備たち一行は、元来た山道をとぼとぼと引き返していった。