この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
臥龍の珠
第3章 三顧の礼
「おはようございます。朝餉の支度は整っておりますよ」

 日が昇って数刻が過ぎ、亮が寝室から姿を現した。忙しく動き回る珠を目にした亮は、決まり悪げに頭を掻いた。

「……寝過ごしてしまいましたか」
「いいえ。何となく早くに目覚めてしまって……」
「そうでしたか。支度をしていただきありがとうございます」

 続けて姿を見せた均と三人で朝食の卓を囲む。そして食後の茶を口にしながら、亮は二人に告げた。

「今日はおそらく左将軍がお見えになるでしょう」

 亮の口調には普段とは異なる緊張感が感じられる。珠は首を傾げ、亮に訊ねた。

「孔明様は左将軍様にお仕えになるのですか?」
「それは会ってみないことにはわかりません。ですが私の体調の回復を待っていたということは、通り一遍の挨拶だけではないということです」
「兄上の元へは参られないのですか?」

 亮と均の兄、瑾が江東の孫権に仕えたという知らせが、先日兄からの手紙でもたらされていた。孫権は孫堅の次男で、不慮の死を遂げた長男孫策の後を継いだ人物だ。瑾の口利きならば弟である亮も仕官がかなうはずだ。

「乱世ですから」

 亮は弟に優しい目を向けた。杖ともたのむ叔父を亡くしたあと、兄弟寄り添って生きてきた。そろそろ二十歳を迎えようという弟に、まるで幼子を諭すように言い聞かせる。

「乱世ですから、一族はできる限り分散した方がよいのです。動乱の世を我が諸葛家が生き延びてゆくために」

 均は兄の言葉に頷いた。兄はいつも正しく、兄の言うことに間違いはない。均は長兄である瑾の顔を覚えていなかった。均が物心つく前に父は死亡し、瑾は継母を連れ継母の故郷江東とへ行き、幼かった亮と均は荊州の叔父を頼ったからだ。いつか瑾に会ってみたいと、均は思っていた。
/41ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ