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臥龍の珠
第3章 三顧の礼
「やはり元直は正しかった。ここは是が非でも先生を新野に連れて帰りますぞ!」
劉備の声は興奮で上ずり、特徴的な大きな耳は赤く染まっていた。亮の両手を握りしめて離さない。
「……いつ新野へ?」
「今夜は襄陽で宿を取り、明日新野へ戻ります」
「わかりました。明朝襄陽城門でお待ちいたしております」
「おお、来てくださるのか! これでもう恐れるものなど何もない」
「明朝お会いしましょう、将軍殿」
「将軍とは何とも他人行儀。どうか玄徳と」
「わかりました。では玄徳様。門までお見送りいたしましょう」
亮は椅子から立ち上がった。座っているときはあまり感じなかったが、肩を並べてみると亮は趙雲と変わらないほどの長身だった。
「先生は背がお高いですな」
「私はあなたの軍師です。孔明とお呼びください。私は琅邪の出身ですから」
琅邪を含む一帯は古来より長身の者が多いことで知られていた。
「なるほど。では明朝」
「はい」
劉備は亮の目をまっすぐに見つめた。冷たい熱の去った亮の目からは、深淵のような底知れぬ知性を感じた。劉備は淵に飲み込まれるような恐怖を感じ、目をそらした。そして関羽たちを連れ、今夜の宿である襄陽へと戻ったのだった。
劉備の声は興奮で上ずり、特徴的な大きな耳は赤く染まっていた。亮の両手を握りしめて離さない。
「……いつ新野へ?」
「今夜は襄陽で宿を取り、明日新野へ戻ります」
「わかりました。明朝襄陽城門でお待ちいたしております」
「おお、来てくださるのか! これでもう恐れるものなど何もない」
「明朝お会いしましょう、将軍殿」
「将軍とは何とも他人行儀。どうか玄徳と」
「わかりました。では玄徳様。門までお見送りいたしましょう」
亮は椅子から立ち上がった。座っているときはあまり感じなかったが、肩を並べてみると亮は趙雲と変わらないほどの長身だった。
「先生は背がお高いですな」
「私はあなたの軍師です。孔明とお呼びください。私は琅邪の出身ですから」
琅邪を含む一帯は古来より長身の者が多いことで知られていた。
「なるほど。では明朝」
「はい」
劉備は亮の目をまっすぐに見つめた。冷たい熱の去った亮の目からは、深淵のような底知れぬ知性を感じた。劉備は淵に飲み込まれるような恐怖を感じ、目をそらした。そして関羽たちを連れ、今夜の宿である襄陽へと戻ったのだった。