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臥龍の珠
第3章 三顧の礼
「お心を決められたのですね」
「はい。申し訳ありません」

 叔父の劉表に仕えなかったことを謝罪しているのだろうと珠は思った。荊州牧である劉表に仕えることもできるのに、その客分でしかない劉備に仕えるというのは、わざわざ格下の主を選んだと見なされるからだ。

「いいえ。叔父は年老いました」

 だが、珠には夫が叔父を選ばなかった理由がわかっていた。

「年老いた者は心弱くなり、自分に都合の良い意見を述べる者だけを側に置くようになります。たとえ今孔明様が叔父に仕えても、叔父が孔明様の献策を受け入れることはないでしょう」

 劉表の側近の蔡瑁が、自分の妹の産んだ次男を跡目につけようと、妹と共に甘い言葉で劉表を惑わせていることを、珠は知っていた。

「左将軍様は若い徐元直様のお言葉を容れ、三度もこの庵を訪ねてくださいました。左将軍様ならがきっと同じように若い孔明様の策を受け入れてくださるはず。孔明様に相応しいのは叔父ではなく左将軍様なのです」
「さすが私の選んだ奥さんです」

 亮はにこりと笑って珠を抱き締めた。珠は義父黄承彦のいう通り、とても頭の良い女性だった。そしてその頭の良さを亮は愛していた。

「明日は玄徳様にお会いする前に、お父上にご挨拶をしないといけませんね。ですから本当は早く休んだ方がいいのですが」

 だが亮は身体をかがめて珠の耳許に口を寄せ、そっと囁いた。

「隆中最後の夜を、ぜひともご一緒いたしませんか?」
「はい、喜んで」

 珠も微笑んで、差し出された亮の手を取った。
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