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臥龍の珠
第1章 青の婚礼
それほど広くはない殺風景な部屋が、夫婦の寝室だった。部屋の半分を占める寝台以外には、めぼしい家具すらない。亮は手燭の灯を枕元の燭台へ移した。
「何もなくて驚いたでしょう? なにぶん男所帯なものですから……」
「いいえ」
珠は微笑んでかぶりを振った。その拍子に簪(かんざし)が。きららかな音を立てた。男所帯という割には、室内の掃除は行き届いており、好感を抱いた。
亮の正面に回った珠は拱手(両手を胸の前で重ねる礼)をし、叩頭した。
「不束者(ふつつかもの)ではございますが、妻として末長くよろしくお願いいたします」
「どうか立ってください」
亮は珠の両手を取り、立たせた。そして珠と同様に拱手する。
「こちらこそ至らない夫ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
この質素な庵が夫婦の出発点となる。若い二人は手を携え、これから先の人生を共に生きることを誓った。
「何もなくて驚いたでしょう? なにぶん男所帯なものですから……」
「いいえ」
珠は微笑んでかぶりを振った。その拍子に簪(かんざし)が。きららかな音を立てた。男所帯という割には、室内の掃除は行き届いており、好感を抱いた。
亮の正面に回った珠は拱手(両手を胸の前で重ねる礼)をし、叩頭した。
「不束者(ふつつかもの)ではございますが、妻として末長くよろしくお願いいたします」
「どうか立ってください」
亮は珠の両手を取り、立たせた。そして珠と同様に拱手する。
「こちらこそ至らない夫ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
この質素な庵が夫婦の出発点となる。若い二人は手を携え、これから先の人生を共に生きることを誓った。