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臥龍の珠
第1章 青の婚礼
「珠、とお呼びしてもよろしいでしょうか」
「もちろんです」
珠は差し出された亮の手を取った。荒れた手はもう気にならなかった。そのまま簡素な寝台に導かれ、互いの体が触れそうなほど近くに座る。質素で清潔な寝具からは、ふわりとお日様の匂いがした。
亮の長い手が珠に向かって伸ばされた。精緻な意匠の施された簪がすべて抜かれ、緩くうねった濃い金色の髪がほどけて背に踊る。背を覆う豊かな髪を、亮は細く長い指で梳いた。
「あなたのお父上にはお礼を言わないといけませんね。よくぞあなたを残しておいてくだされた」
低く柔らかな声が耳元で囁く。たったそれだけのことで、ぞくりと肌が粟立つ。亮の顔を見つめると、澄んだ泉のようだった瞳の奥底に、先程までとは違う揺らぎを感じた。亮は珠の横髪を掻き上げ、重たい耳飾りを外す。外した耳飾りを丁寧に枕元に置いた亮は、さらに耳の近くに唇を寄せた。亮の吐息が耳を震わせ、珠は初めて経験する言い様のない感覚に身を震わせた。
「もちろんです」
珠は差し出された亮の手を取った。荒れた手はもう気にならなかった。そのまま簡素な寝台に導かれ、互いの体が触れそうなほど近くに座る。質素で清潔な寝具からは、ふわりとお日様の匂いがした。
亮の長い手が珠に向かって伸ばされた。精緻な意匠の施された簪がすべて抜かれ、緩くうねった濃い金色の髪がほどけて背に踊る。背を覆う豊かな髪を、亮は細く長い指で梳いた。
「あなたのお父上にはお礼を言わないといけませんね。よくぞあなたを残しておいてくだされた」
低く柔らかな声が耳元で囁く。たったそれだけのことで、ぞくりと肌が粟立つ。亮の顔を見つめると、澄んだ泉のようだった瞳の奥底に、先程までとは違う揺らぎを感じた。亮は珠の横髪を掻き上げ、重たい耳飾りを外す。外した耳飾りを丁寧に枕元に置いた亮は、さらに耳の近くに唇を寄せた。亮の吐息が耳を震わせ、珠は初めて経験する言い様のない感覚に身を震わせた。