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臥龍の珠
第1章 青の婚礼
「先程はあんなことを言いましたが、私はあなたに無理強いするつもりはありません。辛いようでしたら遠慮なく仰ってくださいね」
「……はい」

 亮はさらに優しく耳元で囁いた。男性の声が、こんなにも魅惑的に聞こえることを珠は初めて知った。黄家の令嬢として掌中の珠の如く大事に育てられた珠は、家族や使用人以外の男性との接触はほとんどなかった。そして父や使用人の声では、身体の奥底が疼くことなどなかった。

 亮の顔がゆっくりと近づく。問いかけるような眼差しに、珠は小さく頷いてそっと目を閉じた。

 初めての口づけは、軽く唇に触れただけ。目を開け視線で問うと、亮は微笑んで再び唇を寄せた。

 二度目の口づけは、息苦しいほどたっぷりと深く。身体の疼きはより激しくなり、珠は身体の奥深くから何かが蕩(とろ)けて流れ出すのを感じた。
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