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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第30章 マイスターの悔恨
(熟れた桃みてぇな体しやがって)
細かい産毛に覆われ、惹きつけられずには居られない香りを放ち、皮を剥けば腕まで汁が滴る、完熟の桃のような姿が、何の隔てもなく、彼の目の前に曝されています。
見つめていると、ゴクリと喉が鳴りました。
先程は姫の婚約者を装って姫を蹂躙しましたが、もともと講義の報酬としてなら、望みのものを何でも言えと言われています。
報酬として、姫の体の発する誘いに乗ってしまっても、文句を言われる筋合いは無いでしょう。
それに、意識のない今なら、姫も何も気付かないかもしれません。
気付いたとしても、百人近くの男に体を委ねてきた女です。彼一人くらい増えたとしても、
(…ダメだ。こいつのことは、これ以上泣かせねぇ)
しかし、このままこの部屋を後にすることは、彼の体の事情が許しません。
彼は、姫の目隠しにしていた手拭を、固くそそり立った自身に被せ、そのまま手を動かし始めました。
「くっ…は、」
目を開けば、熟れきったみずみずしい姫の体がいつでも触れる距離に有り、劣情をそそる匂いを振りまいています。
目を閉じれば、先程までの姫の甘やかな吐息や嬌声、恥らいながらも愛撫に応えるあられもない痴態が蘇って来ます。
「っ…は、」
(『やっ…みみっ…やぁっ』)
「っ…くそっ、…っ」
(『あ、やぁっ…だめぇ』)
「…スグ…リっ…、」
(『…やっ、』)
「っ…っ、く!」
(『…タン…ムさま、あ』)
「っは、…は、っ…地獄、かよっ…」
彼は、欲望を吐き出し終えてて弛緩した自分を覆っていた手拭の生温かく濡れた部分を避けて、自分の右手と、生温い飛沫が零れた石の床を拭いました。そして、身支度を整えて立ち上がり、果物を片付けていた箱の中に、湿った手拭をくしゃくしゃに丸めて突っ込みました。