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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第31章 オレンジの夜
「…姫様!起きてください、姫様!」
「ん…バンシル?…あれ?」
(…ねむい…朝?なんか、すごく、眠い…)
「…バンシル…もう、朝?」
「姫様。まだ夜ですよ。そんな格好で、こんなとこでお休みになって」
「…へ?あ。」
言われて起き上がった姫があたりを見回すと、自分が長椅子の上で、ブランケットを掛けて寝ていたことに気付きました。
「お体の具合が、良くないのですか?もうすぐ晩餐ですよ」
「ん、そうね…あ。」
長椅子の上で座りなおそうとした姫は、固まりました。
「どうなさいました?」
「…今日は、やっぱり、気分が優れないみたい。晩餐は遠慮したいって、ハンダマに伝えてくれる?」
「大丈夫ですか?何か軽いものでも、召し上がりますか?」
「ん、大丈夫。とりあえず、ちゃんと着替えて、休むわ」
着替えを手伝おうとするバンシルに、姫は言いました。
「着替えは自分でするから、ハンダマのとこに先に伝えてきてくれない?」
「承知しました」
そう言うとバンシルは、部屋の扉に向かって行って、出て行きながら言いました。
「召し上がれても召し上がれなくても、あとで何か消化の良いものでもお持ちしますね」
「うん。ありがとう」
バンシルが一礼して、ぱたん、と戸が閉まると、姫は着替えるために立ち上がろうとしました。
「んっ…」
立ち上がろうとしたら、下穿きをはいていない素足の肌にスカートが擦れて、その刺激で姫の脚はびくんと震えました。
さっき座りなおしたとき感じた通り、太腿の付け根辺りがぐっしょり濡れていて、足を動かすとぬるぬるします。
姫は立ち上がろうとするのをやめて、再びぱたりと長椅子に伏せました。
(あれ、夢じゃなかったんだ)
(ほんとだったんだ)
(…サクナが、あんな……サクナと、あんなっ…)
それが講義への謝礼だ、と言われてからの後のことを思い出すと、また体の中から何かがとろりと湧き出して来て、そわそわするような感じがしました。