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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第32章 三度目の、お手合わせ
「姫様、そろそろ起きてください」

三度目の果物講習の翌朝。

「…ここには、誰も居ません…」
バンシルは、最近寝覚めの良かった姫のひさびさの抵抗に、手を焼いておりました。

「何言ってんですか、姫様。じゃあこれは何ですか」
バンシルが姫の潜っている布団をぺしぺし叩くと、くぐもった声が聞こえました。

「…これは、姫様などではありません…これは、小山です…」
「いい加減に、してください。」
堪忍袋の緒が切れたバンシルが布団をはがそうとすると、姫はじたばたと暴れました。

「やー!無理ー!だめー!助けてー!」
姫は騒ぎましたが、本当に調子が優れないときの姫ならこんなに暴れる余裕は無いことを、付き合いの長いバンシルは知っておりました。
「無駄です、助けは来ません。調子が優れないにしても、一度起きて頂かないと困ります。結局昨日の夕方から、寝っぱなしじゃないですか」
布団の端ををひっぱりながら言うと、小山がのそのそ動き始めました。
「ほら、起きますよ。せめて、何か召し上がって…それに、」

バンシルは小山に向かって、本日一番重要な予定について、聞きました。

「お手合わせは、どうするんですか?」

ぴたっ。
…と、音が聞こえそうなほど唐突に、小山の動きが止まりました。

「…姫?」
「いかない。」
「行かない?延期をお願いしとけば良いんですか?」
「…いかない」
「え?行かないって、どうして」
「どうしてでも行かないっ」
言い張りながら縮こまっていく小山を見て、バンシルは諦めました。
(仕方ない。ここは、起きて下さるだけで良しとしよう)

「はいはい、分かりました。行かないんですね。タンム様にそうお伝えしておきます。」
それで小山が動き始めたので、バンシルは着替えを用意しようと寝台を離れました。
「あ。そう言えば、昨日サクナに挨拶はしたんですか?」
「え?」
尋ねると、再び小山の動きが止まりました。
「明日、タンム様より一足先に帰るそうですね?昨日お聞きしなかったんで、今朝直接聞いてびっく」
「バンシルっ!」
小山から声がして、バンシルの言葉は遮られました。

「はい?」
「今日、行くっ!」
「え?どうして」
「どうしてでも、行くっっ!!!」
小山はガバっと布団を跳ね除け、寝台に起き上がって、姫になりました。

「今日は予定通り、タンム様にお会いします。支度を手伝って頂戴」
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