この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第32章 三度目の、お手合わせ
「っ!」
口づけされそうになった姫は、思わず顔を伏せました。
それを見たタンム卿は、耳の傍でまるで耳を喰むように囁きました。

「…御一人で、そのような残酷なお話をなさりにいらっしゃるとは…勇敢な方ですね」
「ぁ、やっ」
「いや、無謀と言うべきか」
姫は身を捩って首を振り、タンム卿はその首筋に唇を寄せました。

「今日は、手合わせの日ですよ?」
「ふっ…く」
タンム卿は、目元に涙を滲ませている姫の胸元に触れました。

「私は、その積もりで参ったのですが」
胸元に置いた手を柔柔と動かすと、姫は体をいっそう固くして目を閉じ、きゅっと唇を噛んでいます。




「…やれやれ。」
タンム卿はしばらく姫の様子を窺っておりましたが、やがて両手を挙げて、まるで貝のように固く閉じてしまった姫から離れました。

「これでは、どうしようもありません」
「っ…」
その言葉で、姫の目がおずおずと開かれました。

「前にも言いましたが、私は姫に無理をさせたい訳ではないのです」
タンム卿はまだ動けない様子の姫の手を取って、長椅子の上にきちんと座らせてやりました。

「タンム様…ごめんな、さい」
「こういう時に謝られるのは、却って傷付くのですがね」
タンム卿が苦笑すると、姫は先程よりもさらに小さな声で、ごめんなさい、と言いました。

「いえ…きっと、貴女のお召しになったオレンジは、よほど美味しいものだったのでしょう」

タンム卿は独り言のように言って、少しの間、目を閉じました。



「姫。ひとつ、お願いがあります」
座り直して、乱れた服を整えている姫に、タンム卿が告げました。

「…お願い?」
「ハンダマ様に、お目通り願えますか」
「え?」
「この件はもはや私達だけでどうこう出来るものではありません」


「この見合いの仲立ち人のハンダマ様に、直接お話したいことがございます」
/162ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ