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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第36章 招かざる客
「女もクソもありません。答えないと、ここで『誰か』が素っ裸で寝てるって、廊下に出て大声で叫びますよ」
「…ヤッたしイった」

お前ほんと恐ろしいな、と言いながら、サクナは嫌そうな顔のままで答えました。

「中まで挿れたんですか?」
「おい!?」
「答えないと、ここで『ひm」
「分かった止めろ中まで挿れたし中で出したっ!」
「どこで出したかなんて、聞いてませんっ!!」
サクナが一息で言い切ったのを聞いて、今度はバンシルが、心底嫌そうな顔をしました。

「…それで、『特異体質』は?」
真剣な顔で聞かれて、サクナは、ああ、と言いました。
今の今まで、そのことはすっかり忘れていたのです。
「最初は、気にしてたが…治ったみてぇだぞ」
サクナの呑気な答えに、バンシルは目を剥きました。

「治ったぁ!?十年物の特異体質が?!なんで、また、急に!?」
「それも、答えなきゃダメか…」
サクナはまたバンシルに睨まれて、あらぬ方を見ながら答えました。

「お互い良くなり過ぎて、途中で全部吹っ飛んだ。何もかもどうでも良くなって触っちまったが、なんともなかった」

「なんともなかった?!くすぐったくなかったんですか!?」
「くすぐったくは無いって言ってたが…いや、なんともなくは無ぇな」
「なんかあったんですか!?」

「ああ。『気持ち良すぎて頭おかしくなりそう』って言ってたな、確か。」

「……すみません。念のために聞いとこうと思った私が馬鹿でした。聞いてる内容関係なく真顔で垂れ流され続ける惚気でこっちの方が頭がおかしくなりそうなんで、今聞いたことは全部忘れます。」

バンシルはサクナにそう言うと、こめかみの辺りを押さえました。
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