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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第7章 「ツグミ」と黒い魔女
大臣が指さしたのは、書状に残った封蠟でした。
「この印璽は、黒い魔女が好んで使う物と、とてもよく似ているのだよ・・・まるで瓜二つなのだ、同じ物だと言っても良いほどに」
二つの理由を示されて、副大臣にはもう反論することが出来なくなりました。
「何故、今」
(何故、今・・・王と后に、これ以上無い祝い事があった、目出度い時に)
歯を食いしばった副大臣の口元から、唸るように言葉がこぼれます。
「今だから、だろう。この国にとって、幸せの頂点とも言える今だから」
そう呟いた大臣は、疲れ切った顔をしています。
副大臣は大臣のその表情を見て、はっとしました。
先王の腹心である大臣は、自分の父とさほど変わらない年齢です。
高齢といっても良い大臣に、これ以上負担をかける訳にはいきません。
大臣のため。
友である王のため。
そして、この国のために。
副大臣は腹を決め、机の上の書状を丸めて、手に持ちました。
「私が、王に告げに参りましょう」
「この印璽は、黒い魔女が好んで使う物と、とてもよく似ているのだよ・・・まるで瓜二つなのだ、同じ物だと言っても良いほどに」
二つの理由を示されて、副大臣にはもう反論することが出来なくなりました。
「何故、今」
(何故、今・・・王と后に、これ以上無い祝い事があった、目出度い時に)
歯を食いしばった副大臣の口元から、唸るように言葉がこぼれます。
「今だから、だろう。この国にとって、幸せの頂点とも言える今だから」
そう呟いた大臣は、疲れ切った顔をしています。
副大臣は大臣のその表情を見て、はっとしました。
先王の腹心である大臣は、自分の父とさほど変わらない年齢です。
高齢といっても良い大臣に、これ以上負担をかける訳にはいきません。
大臣のため。
友である王のため。
そして、この国のために。
副大臣は腹を決め、机の上の書状を丸めて、手に持ちました。
「私が、王に告げに参りましょう」