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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第37章 解かれた呪い
「お父様、お母様。ご機嫌麗しゅうございます」
「姫。挨拶は良いから、ここに来なさい。」
スグリ姫が王と王妃の間の前の扉に赴くと、サクナが既に待っていました。
サクナを見た途端泣きそうになった姫を見て、サクナは姫の手を握り、にこっと笑ってくれました。
姫は嬉しく思いましたが、いつも不機嫌な顔のサクナが姫に笑いかけないといけないような事態なんだと思うと、却って涙がこみ上げそうになりました。
(今から泣いてどうするの。しっかりしなきゃ、)
姫は一生懸命サクナに笑顔を作り、ぎゅっと手を握ってから、離しました。
そして深呼吸をひとつして、目の前の重厚な扉を叩きました。
「お父様、お母様。ご機嫌麗しゅうございます」
王はちらっとサクナに目をやり、王妃はいつものようににっこりとスグリ姫に笑いかけました。
「姫。挨拶は良いから、ここに来なさい。」
「はい、お父様。…お父様、お母様。こちらは、私の婚約者のサクナです」
「王様、王妃様、サクナと申します。お目にかかれて恐悦至極に存じます。」
「スグリよ。」
王はサクナの挨拶を無視して、スグリ姫に呼びかけました。
「はい、お父様。」
「私たちが先般聞いた其方の見合いのお相手は、彼では無い御方ではなかったか?」
「…はい」
「サクナと言う名は、ハンダマから聞いた憶えがある。確か、其方の見合い相手の、タンム卿の従者であろう」
「そうです。」
「その従者が、今は其方の婚約者だと言うのかね?」
スグリはここまで、王の問いをお辞儀をしたまま俯いて聞いておりましたが、王の言葉に徐々に含まれ始めた苛立ちを感じて、キッと顔を上げました。
「ええ、そうです。お父様」
(お父様が何を言ったって、負けるもんですか)
(私は、サクナの事が好き。それは、誰にも邪魔させない)
「…私は、それは流石に如何なものかと思うのだが。」
「お父様!」
姫の負けん気が、顔に出ていたのでしょうか。
王は姫の婚約に、異を唱え始めました。
「姫。挨拶は良いから、ここに来なさい。」
スグリ姫が王と王妃の間の前の扉に赴くと、サクナが既に待っていました。
サクナを見た途端泣きそうになった姫を見て、サクナは姫の手を握り、にこっと笑ってくれました。
姫は嬉しく思いましたが、いつも不機嫌な顔のサクナが姫に笑いかけないといけないような事態なんだと思うと、却って涙がこみ上げそうになりました。
(今から泣いてどうするの。しっかりしなきゃ、)
姫は一生懸命サクナに笑顔を作り、ぎゅっと手を握ってから、離しました。
そして深呼吸をひとつして、目の前の重厚な扉を叩きました。
「お父様、お母様。ご機嫌麗しゅうございます」
王はちらっとサクナに目をやり、王妃はいつものようににっこりとスグリ姫に笑いかけました。
「姫。挨拶は良いから、ここに来なさい。」
「はい、お父様。…お父様、お母様。こちらは、私の婚約者のサクナです」
「王様、王妃様、サクナと申します。お目にかかれて恐悦至極に存じます。」
「スグリよ。」
王はサクナの挨拶を無視して、スグリ姫に呼びかけました。
「はい、お父様。」
「私たちが先般聞いた其方の見合いのお相手は、彼では無い御方ではなかったか?」
「…はい」
「サクナと言う名は、ハンダマから聞いた憶えがある。確か、其方の見合い相手の、タンム卿の従者であろう」
「そうです。」
「その従者が、今は其方の婚約者だと言うのかね?」
スグリはここまで、王の問いをお辞儀をしたまま俯いて聞いておりましたが、王の言葉に徐々に含まれ始めた苛立ちを感じて、キッと顔を上げました。
「ええ、そうです。お父様」
(お父様が何を言ったって、負けるもんですか)
(私は、サクナの事が好き。それは、誰にも邪魔させない)
「…私は、それは流石に如何なものかと思うのだが。」
「お父様!」
姫の負けん気が、顔に出ていたのでしょうか。
王は姫の婚約に、異を唱え始めました。