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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第37章 解かれた呪い
「ああ、でも、ベラだけには知らせようかと思ってるのよ。あの家の女は、口が固いから。」
バンシルの母親でありスグリ姫の乳母であるベラは、王妃の昔なじみなのでした。
「あの血筋に産まれた女は、無駄口を叩かないの。バンシルも、余計なことは言わないでしょ?」
「ええ…時々、必要なことも、言いませんけどね…」
言っておいてくれたら驚かなかったのに、とスグリ姫は溜息を吐きました。
「そのくらいの意地悪は許しておあげなさいな。あの子、昨日珍しくあたふた動いてて、可哀相だったわ」
「う…」
「もっとも、昨日何があったのかは、バンシルが口を割らなかったから、全っ然知らないけどね」
スグリ姫が(これは…絶対知られてる!絶対!!)と思うような顔で、王妃はにっこり笑いました。
「ということで、話はそれだけ。」
「え?」
スグリ姫は、面食らいました。
「あのう、お母様…?私たちのことについては?」
「婚約したんでしょ?…あら?ごめんなさい、『おめでとう』が、まだだったわね」
おめでとうスグリ、おめでとうサクナ、スグリを宜しくね、と王妃は言いました。
「スグリ。頭の固いお父様なんか放っておいて、あなたの望む道をお行きなさい。
そして、サクナ。この人が今日初対面のあなたにしでかした数々の失礼を、後になって泣いて悔やんで許しを乞うくらい、二人で幸せにおなりなさい。私からの餞の言葉は、以上よ。」
「お母様っ…」
「ツグミ、それは!」
ここまで毒気を抜かれたように呆然としていた王が、大きな声を出しました。
「あら、貴方?この子を見て、分かりませんか?」
「分かる、とは…」
王の困惑振りを見て、王妃は眉をしかめました。
「これだから、男親は。これは、触れなば落ちんどころか、すっかり落っこってるって顔ですよ」
言い当てられて、スグリ姫の頬はぽっとスモモ色に染まりました。
「…今までのお見合いで貴女がこんな顔をしていたことは、一度も無かった」
王妃は心から嬉しそうに笑って娘の頬をそっと撫で、スグリ姫と婚約者を見ました。
それは、娘である姫さえ初めて見るほど、晴れ晴れとした表情でした。
バンシルの母親でありスグリ姫の乳母であるベラは、王妃の昔なじみなのでした。
「あの血筋に産まれた女は、無駄口を叩かないの。バンシルも、余計なことは言わないでしょ?」
「ええ…時々、必要なことも、言いませんけどね…」
言っておいてくれたら驚かなかったのに、とスグリ姫は溜息を吐きました。
「そのくらいの意地悪は許しておあげなさいな。あの子、昨日珍しくあたふた動いてて、可哀相だったわ」
「う…」
「もっとも、昨日何があったのかは、バンシルが口を割らなかったから、全っ然知らないけどね」
スグリ姫が(これは…絶対知られてる!絶対!!)と思うような顔で、王妃はにっこり笑いました。
「ということで、話はそれだけ。」
「え?」
スグリ姫は、面食らいました。
「あのう、お母様…?私たちのことについては?」
「婚約したんでしょ?…あら?ごめんなさい、『おめでとう』が、まだだったわね」
おめでとうスグリ、おめでとうサクナ、スグリを宜しくね、と王妃は言いました。
「スグリ。頭の固いお父様なんか放っておいて、あなたの望む道をお行きなさい。
そして、サクナ。この人が今日初対面のあなたにしでかした数々の失礼を、後になって泣いて悔やんで許しを乞うくらい、二人で幸せにおなりなさい。私からの餞の言葉は、以上よ。」
「お母様っ…」
「ツグミ、それは!」
ここまで毒気を抜かれたように呆然としていた王が、大きな声を出しました。
「あら、貴方?この子を見て、分かりませんか?」
「分かる、とは…」
王の困惑振りを見て、王妃は眉をしかめました。
「これだから、男親は。これは、触れなば落ちんどころか、すっかり落っこってるって顔ですよ」
言い当てられて、スグリ姫の頬はぽっとスモモ色に染まりました。
「…今までのお見合いで貴女がこんな顔をしていたことは、一度も無かった」
王妃は心から嬉しそうに笑って娘の頬をそっと撫で、スグリ姫と婚約者を見ました。
それは、娘である姫さえ初めて見るほど、晴れ晴れとした表情でした。