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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第9章 魔女ツグミ
「・・・これは、確かに、私に宛てられたものです」
副大臣の話を聞いた王は、すぐにツグミに確かめよう、と言いました。
ツグミのもとを二人で訪れ、訳を話して書状を見せると、ツグミはあっさりと自分宛であることを認めました。
「中を、見せていただいても?」
よろしいですか?と手を差し出された副大臣は、書状をツグミに渡しました。
本来、名宛人が分かれば、届ければいいだけのものなのです。
渡さない理由はありません。
手渡した書状を広げてざっと目を通したツグミは、大きな溜息を吐きました。
「何か、書いてあるのか?」
王がツグミに問いかけましたが、もともとは、私信です。
名宛人に渡さない理由が無いのと同様、相手が王であっても内容を話さなくてはならない理由も、ありません。
何か書いてあるのかを聞いたのは、尋問ではなく、王の個人的な興味からでした。
ですので、応えが無くとも、構わなかったのですが。
「黒い魔女の一人からの遺言です」
ツグミは躊躇いもせず、書状を読んでいる間に顔に落ちてきた癖のある赤毛をうるさそうにかき上げながら、早口で応えました。
「遺言?」
「ええ」
死んでさえもロクなことをしない、とツグミは舌打ちをし、その言葉に王は眉をひそめました。
「・・・中には、何と?」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた副大臣と、眉をひそめている王を見やって。
「呪いをかけたそうです、この国に」
ツグミは、そう吐き捨てました。
副大臣の話を聞いた王は、すぐにツグミに確かめよう、と言いました。
ツグミのもとを二人で訪れ、訳を話して書状を見せると、ツグミはあっさりと自分宛であることを認めました。
「中を、見せていただいても?」
よろしいですか?と手を差し出された副大臣は、書状をツグミに渡しました。
本来、名宛人が分かれば、届ければいいだけのものなのです。
渡さない理由はありません。
手渡した書状を広げてざっと目を通したツグミは、大きな溜息を吐きました。
「何か、書いてあるのか?」
王がツグミに問いかけましたが、もともとは、私信です。
名宛人に渡さない理由が無いのと同様、相手が王であっても内容を話さなくてはならない理由も、ありません。
何か書いてあるのかを聞いたのは、尋問ではなく、王の個人的な興味からでした。
ですので、応えが無くとも、構わなかったのですが。
「黒い魔女の一人からの遺言です」
ツグミは躊躇いもせず、書状を読んでいる間に顔に落ちてきた癖のある赤毛をうるさそうにかき上げながら、早口で応えました。
「遺言?」
「ええ」
死んでさえもロクなことをしない、とツグミは舌打ちをし、その言葉に王は眉をひそめました。
「・・・中には、何と?」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた副大臣と、眉をひそめている王を見やって。
「呪いをかけたそうです、この国に」
ツグミは、そう吐き捨てました。