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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第13章 スグリ姫、はじめてのお見合い
「姫様、着きましたよ」
考え事をしていたスグリ姫は、侍女にそう声をかけられるまで、部屋に着いたことに気が付きませんでした。
着いたのは、柔らかな白一色で室内が整えられた部屋でした。
寝台も、布団も、椅子も全て、クリームのような白一色です。
「しばらくここでお待ちになっていたら、婚約者様がいらっしゃいますからね」
部屋の中の確認をしながら、ベテランの侍女は姫に言い含めました。
「とにかく、お任せしておけば大丈夫ですよ。婚約者様の言うことを聞いて、おしとやかになさってくださいね」
なんとなく不安になった姫は、声を出せずに頷くばかり。
やがて、そんな姫を置いて、侍女たちは去っていきました。
ひとり取り残された姫は、部屋の満々中にある、ふわふわとした上掛けのかかった柔らかな寝台の上に腰掛けました。
そして、きょろきょろと部屋の中を見回しました。
(へー。城の中にこんなお部屋があったのね)
乳兄弟でもある侍女のバンシルにも教えてあげようと、スグリ姫は思いました。
バンシルとは小さな頃から城の中を探検して回ったものですが、この部屋を見るのは初めてでした。
バンシルのことを考えると、姫は淋しくなりました。
大事なことがあるときは、いつでもバンシルが一緒でした。
姫が不安なときは、手を握ってくれました。
それなのに。
(こんな大事な日に、休むだなんて・・・バンシルのばーか)
明日になったらお見合いのこととこの部屋のことを話して、バンシルをびっくりさせて、羨ましがらせてやろう。
そう考えると姫の不安は、少しは紛れるような気がしました。
考え事をしていたスグリ姫は、侍女にそう声をかけられるまで、部屋に着いたことに気が付きませんでした。
着いたのは、柔らかな白一色で室内が整えられた部屋でした。
寝台も、布団も、椅子も全て、クリームのような白一色です。
「しばらくここでお待ちになっていたら、婚約者様がいらっしゃいますからね」
部屋の中の確認をしながら、ベテランの侍女は姫に言い含めました。
「とにかく、お任せしておけば大丈夫ですよ。婚約者様の言うことを聞いて、おしとやかになさってくださいね」
なんとなく不安になった姫は、声を出せずに頷くばかり。
やがて、そんな姫を置いて、侍女たちは去っていきました。
ひとり取り残された姫は、部屋の満々中にある、ふわふわとした上掛けのかかった柔らかな寝台の上に腰掛けました。
そして、きょろきょろと部屋の中を見回しました。
(へー。城の中にこんなお部屋があったのね)
乳兄弟でもある侍女のバンシルにも教えてあげようと、スグリ姫は思いました。
バンシルとは小さな頃から城の中を探検して回ったものですが、この部屋を見るのは初めてでした。
バンシルのことを考えると、姫は淋しくなりました。
大事なことがあるときは、いつでもバンシルが一緒でした。
姫が不安なときは、手を握ってくれました。
それなのに。
(こんな大事な日に、休むだなんて・・・バンシルのばーか)
明日になったらお見合いのこととこの部屋のことを話して、バンシルをびっくりさせて、羨ましがらせてやろう。
そう考えると姫の不安は、少しは紛れるような気がしました。