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第13章 スグリ姫、はじめてのお見合い

「それは、すまない」
婚約者様は、スグリ姫の「御手が冷たい」という真っ赤な嘘に簡単に騙されて、謝ってさえくれました。
しかも、すぐに暖かくなるからね、と付け加えられてスグリ姫の良心がチクリと痛みました。
婚約者様は、暖めようと思ったのか、キスをしながら、体を熱心にこすり付けています。

（素直ないいおじさn･･･じゃない、婚約者様なのに。嘘をついて、ごめんなさい）

そう思ったのも、束の間。
またもや婚約者様の両手が、スグリ姫のおっぱいをいじり始めました。

（だめだめだめー！くすぐったい、くすぐったいんだってば！！！）

いつまで続く、笑ってはいけない初体験。
スグリ姫は、必死に耐えました。

（くすぐったくなーい、くすぐったくない。あなたは全然、くすぐったくなーい）

自分に今流行の催眠術をかけようとしましたが、もちろん全く効きません。

（もうだめ･･･くすぐった死ぬ･･･笑う、舌噛む･･･）

姫の意識が朦朧としてきた頃、婚約者様はキスをやめました。
手は相変わらず、体のあちこちを、まさぐっています。

「きゃんっ！」
（やばい、口が勝手に笑う）
開放された唇から思わず声を漏らしてしまった姫は、両手で口を押さえました。
（大丈夫、どんなにくすぐったくておかしくっても、口を塞いでいれば･･･！）

口を塞いでくすぐったさを耐えますが、婚約者様の手の動きは、どんどんエスカレートしてきます。
あなたが可愛すぎて我慢できないだの、あなたに夢中な私を許せだの言われている気がしますが、それどころではありません。
そのうち婚約者様は、口を塞いでいる姫の手を、はずそうとしてきました。

（いやー、だめー！！無理無理無理！これ外されたら一生生きていけない！死んでも死守！！！）

頑張りますが、相手は殿方です。
ものすごい力です。
「私の心は貴女の物だ」という声が聞こえますが、婚約者様の心がスグリ姫のものならば、手を外そうとするのを即刻やめて頂きたい。
そんなことを考えている姫が最後の力を振り絞っていると、婚約者様の渾身の力が籠もった台詞が聞こえました。

「誓ってほしい･･･私のものになる、と」

その瞬間。

姫の中で、何かがぷつん、と、切れました。