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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第14章 侍女バンシルの回想
(私は、あの時、決めたんだっけ・・・何があっても姫様にお仕えする、と)

わちゃわちゃとじゃれている王家の姉弟を見て、バンシルはその後のことを思い出してました。
あのあとバンシルは、それまで知らなかった色々なことを、知りました。


帰省から戻って姫の元に駆けつけたら、大泣きされたこと。
どうやら自分は特異体質らしい、と、姫に打ち明けられたこと。
そんなことあるものだろうかと思って、姫の着ていた寝巻きの下に、軽い気持ちで手を突っ込んでみたこと。
その結果、姫が笑いすぎて呼吸困難になりかけて、大騒ぎになったこと。
王や后、大臣や副大臣の御許に呼び出され、姫の「特異体質」を、口止めされたこと。


「そりゃー、コトの最中の一番イイところで女にバカ笑いされたらよー。萎えるだろ、普通」
「萎えるどころか、一生の心の傷だね、立ち直れないやね」
「最初のお相手なんて、自信満々だったところで笑いまくられて、ショックで僧院に入ったって言うじゃないか」


子どもの頃は分からなかったけれど、大人には、大人の世界の事情があるということ。
口止めしても、隠しても、噂と言うものは広まってしまうこと。


「姫様と結婚できたら、一生安泰だろ?我こそは!!って挑戦した人間が星の数ほどいるらしいけどなあ」

そして、噂と言うのは時には噂などではなく、真実なこともあること。


「・・・ここ十年で最後までイケた奴は、一人もいないってさ」

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