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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第1章 とある「お見合い」
(声を出すのが、恥ずかしいのだろうか)
首筋から胸、お腹の方へと少しずつ愛撫をずらしていきながら、彼は考えました。
嬌声を聞くことは、男にとってはまたとない興奮材料なのですが、経験の無い彼女にとっては、ただ恥ずかしいだけのものなのかもしれません。
(初めてだからな……これから焦らず少しずつ、自分の好みを教え込めば良い)
そう思った彼は、必死で口を押さえている彼女を、そのままにしておいてやることにしました。
そのまま愛撫に没頭し、やがて、天使が指先で窪ませたような可愛らしい臍に辿りついた時。
彼女の体が、細かく震えているのに気付きました。
(もしや、震えるほど、感じてしまっているのか?!)
臍を舌でなぞりながら見ていると、震えながらも時折、んっんっ、と閉じた口から声を漏らしたり、体をびくっと反応させたりしています。
(まさか・・・まだ秘所に触れてもいないのに、この程度で)
そうも思いますが、初心な彼女のことです。
初めての経験に翻弄されて、早くも上り詰めそうになっているのかもしれません。
自分は彼女をそこまで感じさせることが出来たのかと、彼の自尊心は男としての自信で満たされました。
……しかし。
次の瞬間あることに気付き、彼はそれまでの人生でも一二を争う悩みに直面することになりました。
(このまま彼女が上り詰めてしまっては、見合いは仕切り直しになるかもしれない)
この地の見合いでは、合意に達するのに必要な条件と言うものが、幾つか有りました。
一つ目は、子作りのための交わりを行うこと。
二つ目は、その交わりを行うにあたって、お互いに同意を得ること。
三つ目は、交わりの後、結婚の意思が確認出来る程度にお互いが満足すること、です。
見合いは、それらの条件を満たして初めて「合意に達した」と見なされます。たとえ彼女が上り詰めても、彼が彼女の中に入らなかったり、達しないで終わってしまったら、「子作りのための交わり」になりません。見合いは仕切り直しです。
それだけでなく、彼女がイッたから残念ながら寸止めだけどここでお仕舞いと言うのは、自分の欲望を抑えて抑えて抑えてここまで彼女の準備を整えてきた彼自身に対して、あまりにも残酷すぎます。
(これは、止むを得ない)
切羽詰った彼は、腹を決めました。